初のクライマックスシリーズ(以下、CS)進出に向けて、3位・阪神を追いかける横浜DeNAベイスターズ。3、4月は7勝18敗と大きく負け越し、出遅れたが、以降は月間5割以上をキープ。8月には貯金4を作り、4位に浮上。CSも夢ではなくなってきた。
躍進の背景には、新人・三上朋也のクローザー抜擢、山口俊の先発転向、ベテラン・三浦大輔の復活と、投手陣の安定が挙げられる。打線は、5年目の筒香嘉智がついに覚醒。6月にキューバからグリエルが加入し、より一層厚みを増した。
そうしたなかで、最近、中畑清監督の代打起用が光っている。9月に入ってから、代打の成績は23打数10安打3四球(15日現在)。打率4割3分5厘をマークし、出塁率は5割6分6厘と驚異的な成功率なのだ。
3連敗で迎えた7日の広島戦では、2点ビハインドの6回ウラ、2死ランナーなしから、代打・松本啓二朗が二塁打。続く代打・下園辰哉がセンター前タイムリーで1点差に迫る。7回にも、代打・後藤武敏が三塁ベースに当たるラッキーな内野安打でチャンスを拡大させ、代打・金城龍彦がセンター前タイムリーを放つなどして、逆転に成功。8回に登場した、この日5人目の代打・柳田殖生がセンター前ヒット。なんと代打5人がすべてヒットを放ち、逆転勝ちをおさめた。
9月15日の中日戦でも、代打4人を送り出し、3人がヒット。最後の代打となったトニ・ブランコはサヨナラ本塁打を放った。
なぜ、中畑監督の代打策はこうも的中するようになったのか。スポーツライターはこう分析する。
「昨年やシーズン序盤までは消極的な采配が見られ、ラミレスやモーガン(ともに昨季限りで退団)を残したまま、試合が終わることもあった。『なぜ、ここで代打を出さないのか?』と疑問に思うシーンがたくさんありました。
しかし、今年は積極的になっている。終盤の8、9回まで代打を出し惜しみせずに、6、7回辺りで勝負に出るケースも多々見受けられる。継投全盛の今、後ろに行けば行くほど、球も速く変化球も切れる投手が出てくる。そのなかで、6、7回は先発が疲れてきたころだったり、クローザーに比べれば格の落ちる投手が出てきたりする場面。そこで、代打攻勢で勝負に出るので、結果が出ている。選手だけでなく、中畑監督の采配も成長しているといえます。