「うつ病」は大人の病気だと思われがちだが、そんなことはないという。東京都に住むKさん(42才・パート)の長女Aさんは、真面目な性格の中学2年生。バスケ部の部長に選ばれてからは、誰よりも早く登校して練習の準備をするなど、張り切っていたはずだった。
ところがある日、風邪をひいて学校を休んでから、次第に朝起きられなくなり、登校しようとすると激しい頭痛を訴えるように。そしてついに学校に行けなくなってしまう。夜は怖い夢を見るのか、泣いてなかなか眠れない様子。2か月で体重は3kg落ちた。Kさんが娘を病院へ連れて行くと、うつ病の可能性があると言われた。
話を聞くとAさんは、部長になった時、それを快く思わなかった部員たちから反発にあっていたというのだが…。
どんな子供でも思春期になれば悩み、落ち込むことがあるのは当たり前。だが、それだけでは“うつ病”とは診断されない。どうしてAさんはうつ病と診断されたのだろうか。児童精神科医で『子どものうつ病』(慶應義塾大学出版会)などの著書がある猪子香代さんは説明する。
「Aさんの場合、睡眠障害や摂食障害が長期にわたって確認されたことが診断結果につながったと考えられます」(猪子さん、以下「」同)
友達との別れ、環境の変化、受験勉強…たくさんのストレスにさらされる子供たちだが、もちろん、すぐにうつ病になるというわけではない。友達と愚痴を言い合ったり、体を動かしたり、好きな趣味に没頭することで、多くの場合は悩みや落ち込みは和らいでいく。
しかしストレスを解消することができずに、悲しい気分がひどくなっていくことで、体に不調が表れる場合がある。
・落ち着きなく動き回る
・あまり話をしなくなる
・何をするのも以前より遅くなる
・やらなければならないこともできなくなる
・集中力が続かない
・何事も面倒くさくなる
・次に何をすべきか自分では考えられない
・睡眠や摂食障害がある
特にこのような状態は“抑うつ状態”と呼ばれ、うつ病に発展してしまう可能性があるという。
「まだ抑うつ状態の段階であれば、両親や先生、友達などに話すことで、気持ちや心が整理され、楽になっていくケースもあります。しかし、Aさんのようにこうした状態が複数同時に確認でき、さらに長期間改善されない場合は“うつ病”の可能性が考えられます。特に、眠れないなどの睡眠障害、食べられないなどの摂食障害が長期的にみられる場合は注意が必要です」
※女性セブン2014年10月2日号