「経済の千里眼」の異名を持つ菅下清廣氏
「ミスター・スガシタ。次の『ガンホー』はどこでしょう?」
世界最大の証券会社だったメリルリンチで、4年連続トップランクの営業成績を残した国際金融コンサルタント・菅下清廣氏のもとには、ここ数か月、旧知の外資系ファンドマネージャーからのこんな問い合わせが急増している。急激な円安を受けて日経平均株価は1万6000円の壁を超えたものの、「アベノミクス大相場は終わった」という投資家の声も聞こえ始めた。菅下氏はそれでも「日本株は強気」と語る。その根拠は、必ずしも日経平均とは連動しない中小型株の爆発力だという。以下、菅下氏の解説だ。
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私がよく欧米ファンド関係者から問い合わせを受ける「ガンホー」とは、大ヒットしたスマホゲーム『パズル&ドラゴンズ』を制作したIT企業「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」(ジャスダック上場)のことです。株価は昨年前半の3か月で5倍以上に急騰し、海外投資家から「お宝銘柄」として一躍注目を浴びましたが、それ以前は冴えない動きをする中小型株の1つでした。
米系ファンドから私への問い合わせの多くは次のようなものです。
「日経平均の構成銘柄になるような大企業に興味はない。大型株は今後さほど伸びないだろう。成長が期待できる無名の中小型株の動向を教えてほしい。ワット・イズ・ジャパニーズ・フューチャー?(日本の未来を背負うのはどの会社か?)」
日本株の売買高に占める海外投資家の割合は6割超。日本株の浮沈を握るのは海外マネーです。相場の行方を予測する上で、彼らの動向を知ることは極めて重要でしょう。
アベノミクス初期の2013年初めから、海外投資家はトヨタやパナソニックなど、時価総額が大きく流動性が高い東証1部上場の大型銘柄を買ってきました。2013年は日本市場全体で計15兆円も買い越し、株価上昇に寄与しました。
ところが、2014年の年明けからは売り越しが目立ってきました。日経平均は昨年末の1万6000円近辺で天井を打っています。さて、これは海外投資家が日本株に興味を失ったということでしょうか? おそらく違うでしょう。