関東甲信越在住の週刊ポスト読者はその大きな揺れとともに、同誌前号(9月8日発売)で警告を発していた「測量学の権威」の慧眼に驚いたのではないか。
同誌が特集した「2014年後半『大地震の予兆』マップ」では、村井俊治・東京大学名誉教授の分析をもとに全国の警戒地域を掲載した。村井氏が実施する「MEGA地震予測」は、全国約1300か所にあるGPS測定システムの異常変動(4センチ超の地表上下動)をもとに大地震の発生を予測するもの。村井氏は北関東から甲信越、飛騨地方での異常変動を踏まえ、《半年以内に震度5以上の地震が起きる可能性がある》と指摘した。
そして9月16日午後0時28分、栃木・群馬・埼玉で震度5弱を記録する地震が発生した。北関東は地震学者からは警戒の呼びかけがほとんどない空白地域だったが、なぜ村井氏は的中できたのか。
「今年2月に2回、飛騨・甲信越地方で大きな一斉変動が起きた際、栃木、群馬、埼玉でも異常変動が起きていました。その後、8月半ばに栃木、群馬、長野、岐阜で5センチ超の異常変動が記録されています。そこで9月3日にメルマガ予測で『要警戒』地域として呼びかけました」(村井氏)
村井氏が栃木県や群馬県を警戒地域とするのは今年初めてだったが、「異常変動と地震発生の因果関係からすれば極めて危険と判断し、飛騨・甲信越と併せて注意を促すことにしたのです」(村井氏)という。では、北関東は今後も警戒地域なのか。
「飛騨・甲信越・北関東のどこで地震が起きてもおかしくなかった。今回の震源は約50キロと深く、揺れも広範囲にわたりましたから、一旦、溜めこまれたエネルギーは放出されたと考えられます」(村井氏)
北関東と同様の異常変動は宮崎県から四国、和歌山県までの南海地域などでも観測されているが、特に村井氏は伊豆半島から南北に広がる地域に注目する。
「7月以降、伊豆半島の南に位置する伊豆諸島の大島、三宅島、小笠原諸島の父島、母島、さらに北側の神奈川県内に異常変動点が広がっている。これらの地域は引き続き注意が必要です。半年以内に震度5以上の地震が起こる可能性は非常に高いといえます」(村井氏)
過去、村井氏が東日本大震災をはじめ、大地震の発生を次々と的中させてきた事実は重い。地震学者からは「部外者」として疎まれる存在だが、阪神大震災も東日本大震災も専門の学者が見落とした空白地域で起きた。地道な実績の積み重ねを軽視してはならない。
■村井氏の予測は毎週水曜日発行のメルマガ『週刊MEGA地震予測』(月額216円)で確認できる。詳しくはhttp://www.jesea.co.jp/
※週刊ポスト2014年10月3日号