旭化成、いすゞ自動車、東芝、日立製作所、三菱重工業……。いずれも日本を代表する企業だが、そこには二つの共通点がある。
一つは韓国の国会で第二次世界大戦の「戦犯企業」のレッテルを貼られていること。もう一つはそのレッテルを貼られていながら、韓国の年金資金の投資先となっていることだ。
韓国国会議員・李明洙氏が作成したリストを入手したジャーナリスト・前川惠司氏が解説する。
「2012年、韓国の国会で、戦時中に国家総動員法に基づいて朝鮮半島で労働力を徴発した日本企業299社が『戦犯企業』と認定されました。
李議員は今回、韓国国民年金公団から投資先リストを入手して戦犯企業リストを照らし合わせ、『年金資金の投資先となっている戦犯企業』の一覧を明らかにしました」
李議員がまとめたリストには79社が挙げられている。今年6月時点でそれら企業への韓国国民年金公団の投資額は5027億ウォン(約520億円)にのぼった。
投資額の上位には信越化学工業(約70億円)、三菱商事(約45億円)、日産自動車(約43億円)、パナソニック(約40億円)、JR東日本(約39億円)といった企業が並ぶ(元資料は米ドル表記。1ドル=107円で換算)。
このリストは韓国側が一部の日本企業を「戦犯」と厳しく非難する一方で、国民の虎の子の年金資金の運用先としてその株式を購入し、大きな利益を得ていたことを示している。
特に昨年は日経平均株価が57%上昇するなど、日本企業の株価が記録的な上昇を見せたことから、「戦犯企業」への投資による収益率は21.2%を記録した。
その大儲けの実績を受けてか、投資先の「戦犯企業」は昨年の47社から今年6月時点では79社へ拡大。
もちろん、(韓国企業よりも業績が優れる)日本企業の株を買うこと自体には何の文句もない。だが、そうした投資で儲ける一方で筋違いの巨額賠償を求めているのは何ともご都合主義に見える。
※週刊ポスト2014年10月3日号