相次ぐ誤報、記事の取り消しによって朝日新聞の信用が根幹から揺らいでいる。会社だけではなく、その社員の妻たちが、絶対的プライドとママ社会での地位をも失いつつある。実際に郵便ポストに不審な手紙が入っていたり、飼い犬を通じて親しくしていた主婦仲間から無視されるという事例もある。主婦・A子さん(46才)は語る。
「PTAの幹部役員を務め、夫が朝日に勤めている人がいました。本人も高学歴で朝日新聞の記者の妻、というのを鼻にかけていた。専業主婦の間で夫の職業ランキングは医師、弁護士、国家公務員の次くらいに大手マスコミ勤務がきます。
彼女自身も周りに対して高圧的でやさしさがなかったんです。言葉は悪いですが、“ざまあみろ”と思っているママたちはたくさんいますよ」
また、B子さん(46才)はこう証言する。
「都内には朝日の記者はごまんといるのでしょうが、地方にはめったにいません。だから夫の職業の話になって、『うちは朝日に勤めている』と言われると、周囲は『へぇ凄い』となるんですよ。そうすると、そのうちにママ友のグループを仕切り出したりする。東京から来て偉そうで嫌、そんなふうに思っているのは私だけじゃないですよ」
これまで、大手マスコミ勤務の夫を誇らしげに語り、“タカビー”な態度をとってきたと捉えられた朝日妻たちは少なくない。『格付けしあう女たち「女子カースト」の実態』(ポプラ新書刊)著者でジャーナリストの白河桃子さんは、朝日妻への嫌がらせの背後には「自分が被害を受けているわけでもないのに尻馬に乗って気に入らない人を糾弾する群集心理」があると話す。
「他人の夫が誰もが知っている大企業に勤めていると聞くと、内心で『いいな』と思うわけです。大企業社員の妻本人にその気がなくても、ちょっとした言動が相手のコンプレックスを刺激して、ネガティブな感情を抱かせてしまう。
そんなとき、その会社が不祥事を起こせば世間からのバッシングに便乗して、ウサを晴らすことになるのだと思います」
これまでにも似たようなケースはあった。東日本大震災での福島原発事故の後、東京電力社員の妻たちは、嫌がらせを受けたり口汚い言葉でののしられたこともあったという。
また、戦後最大の集団食中毒事件を起こした雪印乳業(現在は雪印メグミルク)の妻たちも辛酸をなめた。牛乳という直接口に入るもので、しかも幼い子供たちが被害者になった事件だけに、その影響は大きかった。
「女性は自分の容姿や経歴だけではなく、夫の学歴や勤務先、子供の進学先や就職先など、夫や子供までを巻き込んで格付けし合います。日頃から自分の“武器”だけで闘っている人であれば、夫の勤務先が問題を起こしても関係ないのかもしれませんが、夫の職業をちらつかせていたような人は、それが災いするのです。
今回も、大多数の朝日社員に直接の責任があるわけではない。しかも朝日が何をしたのかをきちんとわかっていない主婦は多い。それなのに“悪いことをしたんだから仕方ないよね”という社会正義の皮を被ったママ友たちの格好の餌食になっているのでしょう」(白河さん)
※女性セブン2014年7月10日号