2位を争う広島に17失点、歴史的な大敗を喫した9月13日、甲子園のライトスタンドでは異例の事態が起きた。無様な敗戦に腹を立てた阪神ファンが広島の応援を始めたのだ。こんな事態を元デイリースポーツ編集局長の平井隆司氏はどう見ているのか。
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長く阪神の取材をしてきたが、さすがに今年は「フロントと現場首脳に大ナタを振るわないとファンも見放すぞ」と本気で思った。9月に入って巨人に3タテを食らった時には思わず「このあかんたれ!」と怒鳴ってしまった。
「あかんたれ」は選手にも伝染している。マートンが試合開始直後に球審に刃向かい退場になったが(8月23日)、主力の退場が試合にどのような影響を与えるかわからいでか。本来なら厳罰を処すべきだが、監督は罰金すら科さなかった。
原(辰徳)監督なら二軍に落としていただろう。ケジメをつけない組織がどうなるか。マートン一人制御できないで、よくもまあ巨人と首位争いができたものだ。
阪神電鉄では“安全、安心”が最優先されるが、球団でも真弓(明信)や和田(豊)のような無難な監督が評価されるところがある。この2人は背広を着ればエリートコースを歩けるが、ユニフォームの場合は違う。阪神のこの6年は不幸の6年だ。
※週刊ポスト2014年10月3日号