9月3日にMBSで放送された『歌ネタ王決定戦2014』(TBSでは9月17日に放送)で、5人組コントグループ「WAGE」出身のピン芸人・手賀沼ジュンが見事優勝を飾った。
『歌ネタ王決定戦』は、“音楽ネタ”に限定したお笑いコンテストとして、2013年にスタート。ムード歌謡に乗せて回文を歌うネタを披露した手賀沼ジュンは、前回優勝者・すち子&真也を最終ステージで破り、栄冠を獲得した。
そんな手賀沼ジュンは、2006年にグループが解散するまで「WAGE」の一員として活動していた。「WAGE」とは“Waseda Academic Gag Essence”の頭文字を取ったもので、早稲田大学のお笑いサークルの名前だ。そのサークルに所属していた5人で、2001年に開催された「ギャグ大学偏差値2000」というコンテストに出場し、3位に入賞したことで、芸能事務所アミューズに所属。そして、サークル名をそのまま5人組グループの名前にしたというわけだ。
世間的にはあまり知られることなく解散してしまったWAGEだが、今振り返ると才能豊かなメンバーが揃っていたことが分かる。「そんなの関係ねえ」でおなじみのピン芸人・小島よしお、『キングオブコント2013』で優勝したお笑いコンビ・かもめんたるの岩崎う大と槙尾ユースケ、『世にも奇妙な物語』『ショムニ2013』などを手がける脚本家・森ハヤシ、そして今回歌ネタ王となった手賀沼ジュン。いずれのメンバーも、WAGE解散後に大きな結果を残しているのだ。
当時は『エンタの神様』に出演したり、ブレイク前の満島ひかりもMCを務めていたTOKYO MXの情報番組『ゼベック・オンライン』にレギュラー出演したりなど、それなりにチャンスはあったWAGE。しかし、お笑いブームの波に飲まれるように解散するわけだが、いったい何がよくなかったのか? お笑いに詳しい芸能ライターはこんな話をする。
「当時からネタもしっかりしていて面白かったんですが、大学のサークル出身ということで一部のお笑いファンや芸人からは“どうせ学生ノリだろ”などと言われていました。お笑いサークル出身の芸人はたくさんいますが、そんなことを言われていたのはWAGEくらいなものです。サークル名をグループ名にしたのが、失敗だったのかもしれませんね」
現在、WAGEが所属していたアミューズに残っているのはリーダーの森ハヤシのみ。ほかの4人は、全員サンミュージックに所属している。前出の芸能ライターはこう話す。
「小島よしおのキャラはサンミュージック移籍後に産まれたもの。当時はお笑いブームで、次々と飛び道具的な芸人がブレイクしていたので、まさに時代にフィットしたんだと思います。そして、小島の誘いもあって、かもめんたるや手賀沼ジュンもサンミュージックに移籍します。アミューズは大手事務所ですがお笑いに強いわけではない。一方、ここ数年のサンミュージックは、お笑い事務所としてその地位を確立しているということもあって、彼らの実力がファンや関係者に届くチャンスが増えたのだと思います。小島のブレイクが、流れを大きく変えましたね」
お笑いに専念できる環境が整い、頭角を現してきたWAGEの元メンバーたち。今後のさらなる活躍にも期待できそうだ。