9月18日、東京・大田区の駐車場で猫の首を絞め地面にたたきつけて殺したとして、久保木信也容疑者(33才)が逮捕された。
その日彼が乗っていた自転車の前かごには、その猫以外にも、農薬入りの餌を食べさせて殺した3匹の猫の死体が、ポリ袋に包まれて入っていたという。さらに久保木容疑者は、今年4月以降連続して発生していた猫の大量死への関与も認めた。
同区では、4月に3匹の猫の死体が見つかったのを皮切りに、6月に8匹、7月に3匹、8月下旬までに15匹、その後18匹と、9月23日時点で、計47匹が発見されている。
久保木容疑者の自宅は、JRの線路沿いに建つ築40年のマンションの一室だった。8畳のダイニングキッチンと、6畳一間の1DKで、家賃は8万円弱。コンピュータープログラミングの仕事をしており、ほとんど自宅から出ることはなかったようだ。彼を訪ねてくる人も、彼が誰かと出かけていくことも、周りでは見られていない。しかし、こんな異常な“日常”が目撃されていた。
「どこに行くでもなく2周、3周と自転車で近所をぐるぐる回って、左右をキョロキョロ確認していたんです。その時の目つきは“この人はちょっと危ないな、近づかない方がいいな”と思わせるものでした」(別の近隣住民)
犯行に使ったのは、自動車のエンジンなどの冷却水凍結防止に使われる『エチレングリコール』や農薬を混ぜた鮭フレークなどの餌だった。
警察の取り調べに対して久保木容疑者は、猫を殺害した動機を「ストレスのはけ口になった」と供述している。
特に久保木容疑者が住んでいた大田区は、野良猫が住みやすい街だった。大田区では、人と野良猫が共生できる地域作りを推進しているのだ。しかしその半面、保健所にはクレームも数多く寄せられているという。
「野良猫は放っておくとどんどん増えていくんです。家の敷地や庭に糞尿をまき散らしたり、プランターの花を、猫にめちゃくちゃにされてしまったという人もいました。さらに、夜中に猫が集まって鳴いていたときは、眠れないほどのひどさでした」(前出・近隣住民)
こういった問題の解決に向け、大田区では去勢・不妊手術に助成金を出したり、ボランティア団体が清掃活動を行っているが、それでも後始末をしない無責任な餌やりなども続いていたという。そこに久保木容疑者は、鬱屈した思いをぶつけるようになっていった。供述でははっきりこう語っている。
「(住民が)野良猫に餌をやり、いついていることへの憤慨から、餌に混ぜて殺した」
※女性セブン2014年10月9日号