今月初め、日曜夜7時のお茶の間を22年もの長きに渡り笑わせてきた『さんまのSUPERからくりTV』(TBS系)が終了した。最高視聴率27%を記録し、多くの名物企画と最強素人を生み出してきたヒット番組の終焉は、まさに時代の転換点とも言える。だがTBSにはそれに代わり得る新たなバラエティー番組が育ちつつあるという。
まずもっとも安定した視聴率をキープしているのが金曜夜だ。爆笑問題と田原俊彦司会による『爆報!THEフライデー』から始まり、 『ぴったんこカン☆カン』、『中居正広の金曜日のスマたちへ』というゴールデンタイム3番組はいずれも視聴率10~15%はかたく、同時間帯トップに立つことも珍しくない。
業界的に話題となっているのが、水曜夜の編成だ。かつてこの時間帯のTBSは「魔の水曜日」と呼ばれ、ほとんどの番組が短命に終わっていたが、今年4月から夜8時からの2時間を『水トク!』というスペシャル枠として放送を始めると、9時台をまたぐ変則的な編成で、裏番組に差をつけつつある。
「9月3日に放送されたUFO特番『世界がビビる夜』の視聴率は13.2%。裏の『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)は9.8%、また『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)は12.2%と、TBSが2つの人気番組を上回っています。さらに翌週の『マサカ!の映像GP』も11.1%で、これまた裏の『仰天』(9.8%)、『ホンマでっか』(10.5%)を撃破しました」(テレビ関係者)
他の曜日においても明るいニュースが続く。木曜夜8時からの『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』は11日放送のスペシャルで13.6%の最高視聴率をマーク。また土曜夜7時の『炎の体育会TV』や、江角マキコがくりぃむしちゅー有田哲平と司会を務める月曜夜7時『私の何がイケないの?』も9~11%前後を推移しており、全体として底上げ傾向にある。
不安要素は、実は現在放送中のアジア大会だという。TBSではアジア大会の独占中継が10月初めまでゴールデンタイムを占拠する。3日に12.7%という最高視聴率を記録した『水曜日のダウンタウン』のレギュラー放送が再開されるのが10月22日になるなど、せっかく復調傾向にあるバラエティー番組の勢いが止まってしまう可能性があるのだ。
「数か月先のタイムテーブルを切っていく編成局としてはしかたがないことかもしれませんが、徐々に数字がついてきた時にスペシャル番組やスポーツ中継が割り込んでくる。この傾向がTBSは特に強く、レギュラー放送の再開が最大1か月先になってしまうこともしばしば。アジア大会では、水泳やなでしこジャパンの活躍が期待される女子サッカーなど注目競技が多く高い視聴率が期待されますが、大会終了後に再開されるバラエティーに視聴者が戻ってくるかどうか…」(前出のテレビ関係者)
TBS全体の視聴率としては現在民放4位と苦戦中。このままバラエティーが数字を稼いでいけば3位フジテレビを脅かす存在にもなりうる。年末に向けて大詰めを迎える各局の視聴率争い。かつて民放の雄とも呼ばれたTBSはどうレースを展開していくのだろうか。