日本では蚊を媒介とするデング熱が東京・代々木公園を中心に、徐々に全国に拡大したが、中国広東省では今年初めから9月4日現在で、少なくとも6000人がデング熱に感染し、過去10年間では最大の流行となっている。地元紙「広州日報」などが報じた。
同省の広州市疫病対策センターは「最悪の場合、年内に感染者が1万人を突破する事態も考えられる」としており、感染症の専門家は「感染者が香港などを経由して日本に入り、デング熱が再び日本で再流行する可能性はそれほど多くはないが、全面的に否定することはできない」と警告している。
同省では9月下旬の3日間で1200人のデング熱患者が確認されるなど感染者が急ピッチで拡大している。
とくに広州市では5190人が確認されている。同市の昨年のデング熱患者は100人足らずで、一昨年は20人に過ぎなかったが、今年は8月までに1000人以上がデング熱に感染、このうち12人が重症で、2人が死亡しているだけに、極めて異常な状態といえる。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は香港の感染症の専門家の話として、これらの広東省の感染者が香港に入り、蚊が媒介し、知らない間にデング熱をうつすことが懸念されると報じている。
2003年冬に新型肺炎(SARS)が香港で大流行した際も、すでに広東省で感染したSARS患者が香港に入り、知らないうちに感染が拡大してしまった苦い経験があるからだ。
これは日本についても同様だ。広東省や香港の感染者が日本に入り、蚊を媒介として拡大するケースだ。
日本では9月25日時点で感染者は140人あまりにとどまっているが、デング熱を媒介するヒトスジシマ蚊は10月中旬ごろまで活動するといわれるだけに、「10月に入っても油断はできない」と専門家は指摘している。