プロ野球のペナントシーズンも最終盤を迎えたが、新たな視点で各球団のコストパフォーマンスを考えてみよう。
球団は勝利を目指すために選手に“投資”をする。高い年俸を払っても、その選手の働きでチームが勝てればOKだ。だが期待に見合う働きができない選手にムダ金を遣う球団は、見る目がない「おバカ球団」だ。
そこでプロ野球データに関する著書で知られる、ライターの広尾晃氏の協力の下今シーズンの「ワースト」コストパフォーマンス選手を、野手・投手それぞれ30位まで算出した(9月24日までの成績)。
野手は塁打数をベースに考察。盗塁や四死球、犠打、犠飛を単打として換算し、盗塁死や併殺打をマイナスにして総ポイントを合計して、ポイントあたりの金額を算出した。投手は1アウトを取るのに要した費用で比較。1アウト当たりの年俸をカウントした。
野手で文句なしのワースト1に輝いたのは日本ハムの金子誠(推定年俸6800万円・ポイントあたり3400万円、以下同)だ。かつての正遊撃手だが今季はわずか2安打。選手会長も務めた功労者とはいえ、球団は頭を抱えているだろう。
続いて西岡剛(阪神、2億円・1111.1万円)、里崎智也(ロッテ、1億6000万円・1066.7万円)となった。西岡は不運な故障離脱があったが、自ら「今シーズンは給料ドロボーです」(9月14日、広島戦後のヒーローインタビュー)と認めている点は潔い。
投手で最も高くついたのは中日の小林正人(4800万円・1600万円)。
「1イニングしか投げていないのに年俸は4800万円だから、アウトを1つ取るのに1600万円かかった計算になります。先発投手に比べて救援投手は投球イニング数が少ないので、どうしてもコスパが悪くなりがちですが、それを考えても問題の数字ですね」(広尾氏)
2位は武田久(日本ハム、2億4000万円・1043.5万円)、3位はブラックリー(楽天、2億円・402.2万円)となった。
野手・投手ともに30位までの人数でいえば、コスパの悪い選手をもっとも抱えているのは巨人と日本ハム(8人)。続いてソフトバンク(7人)、阪神、中日、楽天(6人)と続く。ペナントを引っ張った巨人とソフトバンクは結果を出しているので、投資面での「おバカ球団」は日本ハムといえそうだ。
「日本ハムと中日は、それぞれ稲葉篤紀、岩瀬仁紀といったベテラン選手の不調が響きました。阪神、楽天は新加入の大物選手が機能しなかった。阪神は西岡剛のケガ、楽天のユーキリスは5月には米国に帰ってしまって未だにそのままですから」(広尾氏)
※週刊ポスト2014年10月10日号