最近人気が出ているキャンピングカーの最大の魅力は、日本中どこへでも気軽に出かけられることだ。車で行ける場所であれば、宿の予約やチェックイン時間を気にすることなく、思い立ったときに旅に出られ、ホテルや旅館では味わえない絶景ポイントでの宿泊もできる。
新規購入者は急増中だ。2005年に約5万台だった国内の保有台数は2012年には8万500台に増加している(日本RV協会調べ)。
購入者層の多くを占めるのは小さな子供のいるファミリーと熟年夫婦だ。ファミリーにとっては宿泊予算を抑えてアウトドアライフを満喫するためのツールとなる。熟年夫婦にとっては、リタイア後に時間を気にせず各地の観光名所や温泉を巡る手段として人気を集めている。東日本大震災以降はいざというときの「セカンドハウス」としての利用価値も注目されている。
選択肢の主流は「軽キャンパー(軽キャン)」「バンコンバージョン(バンコン)」「キャブコンバージョン(キャブコン)」の3種類だ(この他、専用設計のフルコンバージョン、バスをベースにしたバスコンバージョンなど大型のものもある)
この中で、多くの人が持つ従来のキャンピングカーのイメージに最も近いのが「キャブコン」だ。主にトラックをベースにした大型タイプで、荷台部分を居住空間にした「移動できる別荘」のイメージ。
ベースとなる車はマツダ・ボンゴトラックやキャンピングカー専用に作られたトヨタ・カムロードなど1トン前後のトラックが多い。荷台部分を居室とし、運転席の真上まで覆った箱形タイプが主流だ。
ゆったりとしたダイニングと大人5~6人が寝られるベッド、本格的なキッチンスペースも完備している。トイレやシャワールームを備えたものも少なくない。
デメリットは大型であることと、充実した装備のため予算は500万円以上を見込む必要が出てくること。中には1000万円を超えるものもある。
デイリーユースにも向かない。大型ゆえに普段使いがしにくく、高さが3m近くあるため一般家庭の駐車場には入らないことも多い。駐車場と予算の問題がクリアでき、大家族やペットを伴って旅したい人にオススメだ。
キャンピングカー製造・販売業者が加盟する日本RV協会の調べでは、キャブコンユーザーのおよそ4割がペット同伴の旅を楽しんでいるという。旅先でペットOKの宿は数が限られるため、愛犬家・愛猫家のキャブコン支持は根強い。
●協力:キャンピングカー専門雑誌『キャンプカーマガジン』
※週刊ポスト2014年10月10日号