甚大な被害をもたらした御嶽山の噴火。周辺からは心肺停止の遭難者が続々発見されるという地獄絵図になっていた──。
「あと1秒遅かったら、死んでいたかもしれません」
そう言って恐怖の体験を振り返るのは、山頂付近に建つ『御嶽神社』に逃げ込んで九死に一生を得た、主婦のAさん(47才)だ。27日のお昼前、Aさんは御嶽神社の境内近くで仲間3人と昼食をとっていた。
「おにぎりを食べながら話していると、岩の向こうに灰色の煙が上がるのが見えたんです。何事かと思っていると、“噴火だ! 早く逃げろ!”っていう男性の叫び声が聞こえて…」(Aさん)
とっさに建物のひさしの下に体を突っ込んだその瞬間、火山灰が嵐のように激しく吹きつけ、50cm大の岩石が絶え間なく飛んできたという。
「目の前では、神社までたどり着けなかった人たちが、どんどん倒れていくんです…。周囲が真っ暗になり、体の半分は火山灰に埋まってしまいました。噴煙が晴れてから、仲間に掘り出されて、なんとか助かったんです」(Aさん)
神社の周りでは、埋まったまま微動だにしない登山者の姿が3~4名見えたという。
建物に入れなかったものの、一命を取り留めたのは、会社員Bさん(45才)である。山頂近くの山小屋に向かう途中だったというBさんは、噴火を目の当たりにして、「もう間に合わない」と判断し、とっさに2mほどの高さの岩陰に逃げ込むと、火山灰と石の嵐を避けるように目をつぶり、リュックで頭を覆った。
「大きな岩石が次から次に落ちてくる音が聞こえて、“あれに当たったら終わりだな”と思うと怖くて仕方ありませんでした。岩石が落ちてくる場所があと数cmでもずれていたら、今の私はいません…」(Bさん)
※女性セブン2014年10月16日号