近ごろ、人気なのがBSで放送されている旅番組。BSならではのゆるい空気の中、有名人が気ままに旅する姿が好評なのだという。
たとえば、NHK BSプレミアム『にっぽん横断 こころ旅』。俳優・火野正平(65才)が視聴者から投稿された忘れられない“こころの風景”を相棒の自転車“チャリオ”と共に目指すという番組だ。
「人生、下り坂最高!」
番組内で叫ぶ俳優・火野正平。還暦を超えても、自転車で全国を走り回り、厳しい坂道にゼイゼイと息を切らせることもたびたび。しかしその姿がリアルで、共演経験のある俳優・大杉漣も、「火野さんの人柄がそのまんま映し出されていていいですよね」と大絶賛だ。
番組内では旅先で出会う若者たちからも「番組、見てますー」と握手を求められ、時には一緒に写真を撮ることも。
まさに世代を超えて愛されるこの番組は、火野の飾らない魅力によるところが多い。火野にそう水を向けると、
「この番組は自由にさせてくれるからね。最初からここ行って、ここで何を食べようなんて一切、決まってない。メシ屋に入る交渉でも、全部自分でしてるからね。オレ、制作部やADに向いているんやないかと思っているんよ」
と少年のような顔でニコリ。
食事のシーンも見どころのひとつ。自由気ままに、その時、食べたいものを食べるのが火野流だ。中でも頻繁に登場するのがオムライス。好物で、普段からよく食べるそうだが、番組で出会った忘れられない味があるという。
「石川県の食堂やったかな、 食べているところは撮影してもいいけど、作っているところは撮影しないでって言われたところがあってね。あのオムライスを超えるもんはまだ食べたことないなー。チキンライスでカチャカチャいう金の器で、今どきのトロッとしたもんやなくて、上の卵はパリッとしてた」(火野)
食にまつわる話ではこんな出会いもあった。2年前の気仙沼の旅で出合ったフカヒレラーメンだ。火野が続ける。
「フカヒレラーメンの看板を掲げてんのに、店の主人はフカヒレラーメンを出さへんの。2回目訪ねたら、やっぱり出てこない。主人に聞いたら、フカヒレラーメンを作るお母ちゃんが買い物に行っているから作れないんやって。その主人がなんともとぼけた感じで、いまだにどうしてるのかなってふと思い出すの」
※女性セブン2014年10月16日号