大人気のうちに終わったNHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』。一時は低迷していたものの、完全復活を遂げたと言える朝ドラ。そんなヒットの要因のひとつとしてテレビ関係者の間で話題になっているのが、タイトルの最後に「ん」がついているから、というものだ。
一体どういうことなのか? 直近3作のタイトルを見ると『あまちゃん』、『ごちそうさん』、そして『花子とアン』と、確かに最後に「ん」がついている。
そして新しく始まった、53年の朝ドラ史上初めての外国人ヒロインとして話題の『マッサン』も最後に「ん」がついているのだ。こちらも、初回21.8%の高視聴率でスタートを切った。
このところ、平均視聴率20%超えが続いている朝ドラ。こうヒットが続くと、確かに「ん」がつくタイトルが好調の理由なのではないかと思えてくる。「ん」にはどんな効果があるのだろうか。
「最近の番組のタイトルの傾向として、短くて言いやすくて、テンポのいいものが求められる傾向にあります。4作のタイトルに関しても、『ん』がつくことで、言いやすいということはあると思います。口に出してみるとわかりますが、『ん』で終わることによるリズムやテンポが心地よいと感じられるのではないでしょうか」(テレビ関係者)
ちなみに、先の4作のさらに前をさかのぼると、『純と愛』『梅ちゃん先生』『カーネーション』と、「ん」がどこかしらにつく。『マッサン』まで7作連続で、タイトルに「ん」が入っているのだ。ちなみに平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%を記録した、朝ドラ最大のヒット作『おしん』は、「ん」で終わっている。
逆に、歴代ワースト視聴率の朝ドラは2009年の前期、平均視聴率13.5%の『ウェルかめ』。同ランキング2位は同じく2009年後期に放送され、平均視聴率13.8%にとどまった『つばさ』だ。いずれもタイトルに「ん」はついていない。
もちろん、「ん」がつかなくてもヒットした朝ドラは多い。また、ヒットの要因が複合的であることは言うまでもない。近年の朝ドラは、日本人の生活時間の変化に合わせて午前8時開始にしたことや、特に『あまちゃん』のようにサブカルチャー層への訴求、80年代アイドルへの回帰など、これまでの視聴者層ではないターゲットの開拓などが挙げられるだろう。
ちなみに『マッサン』のあとの来年3月から放送が決まっているのは『まれ』だ。「ん」は入っていない。果たして“ヒットの法則”を覆すことができるのか?