臨時国会は与野党の論戦が本番を迎えているが、情けないことに議論の内容以上に永田町で注目を集めているのが「ひな壇」と呼ばれる本会議場の閣僚席の席次だ。
“永田町の論理”では、議員席から見て演壇をはさんで首相の右隣が「序列2位」、首相と並ぶ左隣が「序列3位」とされ、当選回数やこれまでに経験した役職といった議員の格で決められる。当選同期の大臣同士となると、どっちが序列上位の席になるか気が気でないし、先輩議員を飛び越えて上位の席次になると恨みを買うというから、たかが席順といっても重大な政治問題である。
今回、「序列2位」の席にどっかり座ったのは石破茂・地方創生担当相だった。自民党中堅議員は納得いかない表情だ。
「本来ならナンバー2は麻生太郎・副総理です。改造前は序列2位の席に谷垣禎一・法相(現・幹事長)が座っていましたが、これは野党時代に自民党総裁として党を立て直した谷垣さんの労苦に報いるためです。石破さんは前幹事長とはいえ、当選回数は甘利明・経済再生相より下の序列4位のはず。それが麻生、甘利の2人を飛び越えて序列2位の席に座るのはおかしい」
内閣改造後の初閣議の際に決まった官邸首相応接室の席次は、安倍首相の左右の序列2位と3位の席に麻生氏と甘利氏が座っている。どこで逆転が起きたのか。官邸筋が明かす。
「最初はひな壇の序列も閣議と同じにする案がありましたが、石破サイドから『三顧の礼で迎えられたのに蔑ろにされている』と不満が出たんです。それで席次が見直されました」
石破氏の事務所に取材すると、なんと本人から電話がかかってきた。
「くだらない。そんなこと頼めるかよ。席順は何らかの理屈があって決まっているようだけど、いつもなぜその席なのかわからない。秘書官室から渡された紙にある席に座っただけ」と一笑に付した。
では周辺が本人に代わってクレームを入れたのか。
※週刊ポスト2014年10月17日号