10月20日、美智子皇后は満80歳、傘寿を迎える。女性セブン増刊『ご生誕80年 皇后美智子さまの来し方 皇太子妃雅子さまの明日』(小学館)には民間から初の皇太子妃として皇室に嫁いでから55年間の貴重な取材記録が収められている。
同書には、30年間、美智子皇后に最も近くで仕えてきた女官の証言も掲載されている。2009年4月、この女官は「皇后さまは間違ったことを報じられても我慢していらっしゃるのです」と取材に応じた。
「皇后さまの毎日は、ご公務を終えられ、お休みになるのは夜の10時半か11時あたり。宮中ではお休みになることを『みこし』といいます。そして皇太子妃時代には毎朝決まって5時には起床され、御所の庭を約40分ほど散策されていました」
皇族が歩くことを宮中では「お拾い」と呼ぶが、美智子皇后は毎朝の「お拾い」を欠かさなかったという。
「雨の日も傘をさしてなさいます。冬の朝の5時過ぎはまだ真っ暗ですから、懐中電灯を持ちましてね。皇后さまは、お歩きになるのがとにかくお速いんです」
皇太子妃時代は、朝の「お拾い」から戻ると大急ぎで割烹着を着て子供たちの弁当を作った。献立は前日のうちに自ら考え、ほとんどを手作りしていたという。
この女官は1983年、皇太子夫妻がアフリカ3か国を訪問した時にもお供をした。その帰路、タイに立ち寄った時、美智子皇后は39度近い高熱を出したという。
「もうご予定は無理だと私は思いましたが、決してキャンセルなさらないんです。皇后さまは『体調を悪くしていることを、決して誰にも話してはいけません』、そうおっしゃって、体調が悪いようなそぶりは一切なさいませんでした」
※週刊ポスト2014年10月17日号