少し詳しいという人たちから「まずは白身から」「長居は無粋」などという“作法”を聞いたことがある人は多いのではないか。もちろん時と場合によっては、それらが当てはまることもあるだろう。だが各界の鮨好きたちは、しきたりにとらわれずにそれぞれのスタイルで楽しんでいる。
歌手・山本譲二さんは、タレがかかったアナゴに醤油をつけて、「うん、旨いっ」。型破りに鮨を味わう。
「魚介類にはやっぱり、醤油でしょ! 子供の頃から染みついたものでね。お鮨屋さんで『そのままでどうぞ』『塩で』といわれたら1貫目は従うけれど、2貫目からは醤油をつける。タレがかかっていようがいいじゃない(笑い)」(山本さん)
酒が進むと、長居することも珍しくない。
「若い衆を連れてきて、旨そうに食べる姿を見るのが大好き。『おいしい』なんていわれたら、ノッちゃう。そうすると、ちこっと長くなっちゃうよね」(山本さん)
この日も約4時間、大いに鮨を愉しんだ。
◆山本譲二(やまもと・じょうじ):1950年、山口県生まれ。1974年、デビュー。1981年、「みちのくひとり旅」がミリオンセラーに。今年で歌手デビュー40周年。10月22日に新曲「北の孤愁」(テイチク)をリリース。
◆撮影したお店/鮨忠
撮影■石井雄司
※週刊ポスト2014年10月17日号