10月5日午後4時過ぎ、長崎県佐世保市の豪邸で、同級生殺害事件の加害者の父親が首吊り自殺をしているのを、知人が発見した。そこは、7月27日、同級生を殺害し、首と左手首を切断したとして逮捕されたA子(16才)の生家。自殺したのはA子の父親(享年53)だった。
地元でも最大規模の法律事務所を構え、有名企業の顧問弁護士として活躍し、かつては全国高額納税者名簿にも名を連ねていたという父親。A子は県内でも有数の進学校で東大を目指す優等生。兄は東京の有名私立大に学び、父と同じ弁護士を目指していた。
しかし昨年10月、最愛の妻を病気で亡くしてから、彼の人生は大きく動き出した。「必ずすぐ再婚して」という遺言もあり、3月に婚活パーティーで知り合った30代女性のB美さんと5月にスピード再婚。その一方で、2月にA子を自分の戸籍から抜き、A子の祖母と養子縁組させた。また4月からは、A子に実家近くのマンションでひとり暮らしをスタートさせた。
A子は凶行に至るまでに、父親の寝込みを金属バットで襲い、猫を解剖し、「人を殺して解体してみたい」と医師やB美さんらに明かしていたことがわかっている。B美さんを幼い時から知っており、娘のように思っているという人物が言う。
「死者に鞭を打つようだけど…最後まで無責任な男だったよ。B美は初婚だったし、いきなり2人の子供の母親になるなんて、彼女の両親は彼との結婚に猛反対していたんだけど、B美が選んだ人ならって、最後は押し切られた形だった。それがあの事件が起きて…。B美は“彼をずっと支える”って、言ってたけど、彼はあの事件を受け止めることができなかったんですよね。
仕事の見込みが立たず、あちこちから非難の声がどんどん聞こえてきて、これからの生活をどうしていったらいいかわからなくなっていた。でも自殺なんかするかなぁ…。被害者遺族から民事で提訴されたって聞いたけど、これから裁判が始まろうとしているときにね…」
そんなB美さんだが、加害者A子のことを思う日々を過ごしているという。
「B美は今相当追い込まれた状況だと思います。自分が家を空けた時に彼は自殺したから、“私さえいれば…”って。でもね、彼女は今も、実家に帰ってこようとしないんだよ。“私があの娘を支えなきゃ”って…」(前出・B美さんの知人)
わずか結婚5か月で、B美さんが手にしたもののひとつが「巨額遺産」。冒頭の豪邸は、地元不動産によれば、土地・建物合わせて推定3億円にのぼるという。
「ある意味、事件の舞台となった家なので、売り出したとしても最低半額からのスタート。あとは買い手しだいです。ただ父親は地元でも有名な資産家で、弁護士としてもかなり稼いだだけでなく、株でも大もうけしたという話。遺書がなかったということなので、通常遺された妻には遺産の半分が相続されます。でもA子の事件に関しては、民事裁判で親の責任が問われ、賠償責任が認められるでしょう。その金額は1億円以上になるケースもありますね」(父親を知る弁護士)
B美さんとしては、そういったことも含めて、遺されたA子をサポートしたいと思っているという。
「A子は今、県外の医療施設に身柄を送られ、犯行時の精神状態や刑事責任能力を調べられています。その結果で、地検が家庭裁判所に送致し、少年審判か、検察へ逆送致するか判断することになります」(地元紙記者)
鑑定留置期限は11月10日。もうあと1か月もすれば、父親は娘と再び向き合うことができたはずだった…。
※女性セブン2014年10月23・30日号