習近平が就任直後から腐敗撲滅キャンペーンを展開したことで、党政府の腐敗幹部が次々と取り調べを受け失脚、軍幹部もその例外ではなかった。ジャーナリストの相馬勝氏が解説する。
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習近平の腐敗撲滅キャンペーンが政治的に大きな波紋を広げるなか、経済活動にも徐々に悪影響が出始めている。中国青年報によると、昨年1月から今年4月までに、捜査対象になった幹部54人が「不自然な死因」で死亡しており、このうちビルから飛び降りた8人を含む23人が自殺だった。
清廉な幹部までも「明日は我が身か」と戦々恐々として日ごろの仕事が手につかなくなり、経済プロジェクトを中心に目標達成率が急減するなど経済効果ががた落ちになっている。
李克強首相は7月の国務院(内閣)幹部会議で、「いくつかの地方や部門は仕事の手配は大切にするが、実施するときは手抜きをする」「難しい案件だと、避けて通る」などと怒りをぶちまけた。
米大手金融機関、バンク・オブ・アメリカ香港支店の陸挺グレーターチャイナ経済圏部門トップは、この影響について「中国の今年の国内総生産(GDP)の伸び率を0.6%から1.5%減少させている」と分析。米大手債券格付け機関ムーディーズのマーク・ザンディ・チーフエコノミストも「GDPの2%減」と予測する。
これを裏付けるように、今年上半期(1~6月)決算では、中国の上場企業366社が赤字となり、中間期として過去最多を記録したほか、中国工商銀行や中国建設銀行など5大国有銀行の不良債権総額は前年同期比で21%増の4234億9000万元(約7兆2000億円)と過去最大となった。また今年8月の製造業景況感が悪化し、5月以来、3か月ぶりの低水準だった。
※SAPIO2014年11月号