疑惑の判定が相次ぎ各国から怒りの声があがった韓国・仁川のアジア大会。批判を浴びたのは競技の不公正ばかりではない。大会組織委員会の運営スタッフやボランティア、観客までもが、モラルの低さを露呈した。
なぜここまで韓国は自国の「非常識」を世界に晒しながら平気なのか。慶應義塾大学大学院の海老塚修教授(スポーツマーケティング)の指摘は興味深い。
「国際大会では政治的、宗教的、民族差別的な問題を起こせば、スポンサー企業が離れていく。そのため主催者はこうした問題に対しては、制裁など厳格な措置を取っています。
しかし今回のアジア大会は、スポンサーがほぼ韓国国内の大企業ばかりでした。そのためか、問題行動に対してはむしろ愛国心を駆りたてるような対応が目につき、制裁を加えることもなかった。それがここまで不祥事を連発させた要因と考えています」
救いは、韓国人も自国のそうした恥部を“理解だけはしている”と思われることだ。近年、韓国ではスポーツの不正が社会問題化している。きっかけは昨年、韓国内で開催されたテコンドー大会で不可解な判定に抗議した選手の父親が自殺したことだった。朴槿恵政権はこれを重く見て、スポーツ団体の不正を摘発する特別監査を行なったばかりだ。
そのニュースを報じた『朝鮮日報』(2014年1月26日付)は「不正まみれの韓国スポーツ界」というコラムで、こう論じている。
〈韓国のスポーツ界が根っこから腐り切っているという事実に、人々は憤りを感じている。しかし、こうした問題はずいぶん前から指摘されてきたという点も、その深刻さを物語っている。不適切な判定、八百長試合、団体を運営する上での不正など、数え切れないほど報告されているが、国際舞台で獲得する金メダルによって隠されてきた。〉(日本語版より)
今回、再び「金メダル」に大騒ぎして反省を忘れてしまったようだ。この国が自浄作用を発揮して真の先進国になる日はまだ遠そうである。
※週刊ポスト2014年10月24日号