来年10月の消費税率の10%への再引き上げをめぐり、増税賛成派は社会保障の安定や財政健全化をその大きな理由に掲げている。一貫して消費増税に反対している片岡剛士・三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員は「増税賛成派の主張は嘘ばかり」と喝破する。
「4月の増税前、政府は『増税しても景気に大きな影響はない』と繰り返し宣伝していたが、4~6月期のGDPは東日本大震災の時を超える下げ幅を記録した。
そもそも増税が財政再建に寄与するという論が嘘。税率を3%上げれば約8兆円税収が増えると予想されたが、いざ上がると政府は増税分をあてこんで経済政策などの予算を増やし、財政再建は遠のいている」
片岡氏は社会保障の充実は反故にされただけではなく、逆の方向に進んでいるとも指摘する。
「増税で社会保障を充実させることで社会的弱者への再分配機能が見込めるといわれていた。しかし現状は、賃金が物価上昇に追いつかず、しわ寄せを受けているのは若者、高齢者などの弱者で、実質賃金が上昇したのは大企業の正社員が中心。社会保障制度を支える多くの勤労者を苦しめて本当に制度維持ができると思っているのか」
※週刊ポスト2014年10月24日号