<今は私自身生きる自信さえ喪失しかけておりますが、私の命をもってお詫びしても償うことはできない>
佐世保同級生殺害事件の加害者A子(16)の父親は、謝罪文で綴った言葉に反して、10月5日に自死を選んだ(享年53)。7月27日の事件発覚直後より、最近のほうが落ち込みが激しかったという。父親の代理人弁護士が話す。
「事件直後は気が張っていたのかしっかりしていたのですが、最近はうつのような状態で、沈んだりよくなったりを繰り返していた」
父親には遺族への謝罪と弁済、そして何よりA子を更生に導くという責任の重い道のりが待ち構えていた。そこに「父親が悪い」といわんばかりの批判が襲いかかった。そんな不安定な夫を、5月に結婚した新妻は献身的に支えていたという。
しかし、さらに父親を追い詰める出来事があったと知人男性が語る。
「9月26日に長崎県教育委員会が事件前の学校の対応を検証した中間報告を県議会に提出したのですが、その内容について、父親は『事実と違う』という思いを抱いていたんです」
報告書には、A子が小6の時に給食へ異物を混入した事件について、保護者の意向でカウンセリングが2回しか行なわれなかったことを指摘し、保護者への説得を重ねる必要性があったのではないかと記述。
また、今年3月に起きたA子によるバット殴打事件を父親が学校関係者に口止めし、結果的に学校関係者から学校幹部への報告が遅れたことも問題視した。
「父親はこれらの内容について反論したかったが、『自分が何をいっても言い訳になってしまうから』とこらえていました」(同前)
本誌・週刊ポストは事件当時、父親との関係や家庭環境を凶行の動機と決めつけることは「短絡的、非論理的だ」(8月15・22日号)と指摘したが、多くのメディアでは父親へのバッシングが続いた。
父親の死は、鑑定留置中のA子にもすぐに伝えられ、遺体と悲しみの対面もした。
※週刊ポスト2014年10月24日号