男性の勃起力が低下すると、「硬さ」や「角度」にも影響が出る。2009年、米国の研究者が定めた基準をもとに、日本でもED(勃起障害)のセルフチェック基準となる「エレクション・ハード・スコア」(勃起の硬さスケール)が定められた。
グレード4が「陰茎は完全に硬く、硬直している」(りんご並みの硬さ)、グレード3が「陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない」(グレープフルーツ並み)、グレード2が「陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない」(みかん並み)、グレード1が「陰茎は大きくなるが、硬くはない」(こんにゃく並み)、グレード0は「全く反応しない」とされる。
昭和大学藤が丘病院副院長の佐々木春明教授(泌尿器科)によると、グレード2以下はEDの可能性が疑われ、グレード3は「動脈硬化が始まっている可能性があるレベル」という。この悩ましい現象の正体は何なのか。佐々木教授が解説する。
「中高年の場合は、最初は性的興奮で硬い勃起をしても、それを維持できなくなってくるのです。主な原因はやはりテストステロン減少による動脈硬化でしょう。動脈硬化で血管内皮に障害が起これば、勃起の維持に関わる一酸化窒素の量が減り、勃起に支障が出る」
「また中折れするのではないか」という不安や、過度のストレスも影響するとされるが、医学的には「興奮と勃起の維持力のギャップが構造的原因」(同前)とされている。
なお、高脂血症治療薬などの副作用による薬剤性のEDが原因となっているケースもあるので、常用薬のチェックも重要だ。
※週刊ポスト2014年10月24日号