リタイア後に近隣との人間関係をいかに良好にしていくかが充実した老後のカギ。しかし、実績もプライドもある中高年男性が地域活動に参加すると、思わぬトラブルを引き起こしてしまうことも多い。
ご近所トラブルに理論武装して挑み、事態を悪化させるのは「男性ならでは」の特徴だ。都内在住のA氏がいう。
「階下の70代と思しき男性がいきなり騒音測定器を持って怒鳴り込んで来たんです。
“あんたの家のペットの出している音は、東京都環境確保条例で騒音の基準値とされている50デシベルを大きく超えているぞ。裁判をやればこっちが勝てる。出るところに出るか?”という。
“静かにしてくれ”の一言でこちらも改めるのに、いきなりそんなことを言い出されては引くに引けなくなる」
八戸工業大学大学院教授で『2階で子どもを走らせるなっ! 近隣トラブルは「感情公害」』(光文社刊)などの著書がある橋本典久氏がいう。
「ご近所トラブルが法廷闘争に持ち込まれる例はままあるが、民事裁判の判決で白黒ついたとしても損害賠償額はごくわずかで、原告・被告はその後も“憎きご近所さん”として近くに住み続けることになる。勝っても負けても近隣の関係を破壊することにしかならない」
※週刊ポスト2014年10月17日号