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去勢抵抗性前立腺がんに2種の経口新薬が保険承認で効果期待

 日本人男性の前立腺がん患者数は、胃がん、肺がん、大腸がんに次いで4位だ。発症のリスクファクターは加齢、食事、遺伝、ホルモンで、高齢化と脂肪の多い食生活によって、患者数は急増している。血清PSA検査の導入で、早期発見が可能になっているものの、現在約30%が進行がんで発見され、そのうち約15%で転移が起こっている。

 治療は手術、放射線療法、ホルモン療法、化学療法(抗がん剤)で、がんの進行や症状、転移の有無などで治療法を決定する。早期がんは、手術や放射線療法で完治を目指す。進行がんは、放射線とホルモン療法の併用、あるいはホルモン療法のみで治療を行なう。横浜市立大学附属病院泌尿器科の上村博司准教授の話。

「前立腺がんは、アンドロゲン(男性ホルモン)によって増殖します。アンドロゲンの数値を下げることで、がんの進行を抑えるのがホルモン療法です。複数のホルモン療法がありますが、おおむね3年以内に効果が減弱します。ホルモン療法抵抗性の患者や、手術で精巣摘出後にホルモン療法で再発した患者を合わせて、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と称されます」

 CRPCの治療は、抗がん剤ドセタキセルしかなかったが、年齢や合併症などで治療ができないこともある。そこで今年、抗がん剤移行前に使う薬として、アビラテロンとエンザルタミドの2種が保険承認された。

 どちらの薬も1日1回4錠(カプセル)を内服する。一方が効かなくなった後に、もう片方の薬を使っても交叉耐性が起こるため、効果が期待できない。またこの秋、新しい抗がん剤カバジタキセルも保険承認された。CRPC治療の選択肢が広がると期待されている。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2014年10月24日号

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