早稲田大学は10月7日、小保方晴子氏の学位を「1年間の猶予期間を設ける」との条件をつけて取り消すと発表したため、批判が相次いでいる。猶予などいらぬ、ということだろう。この決断は研究機関にとって自殺行為に等しい。
前回7月の会見では、「不正はあったが故意ではない」として「学位は取り消さない」と発表していた。百歩譲って前回の結論がSTAP捏造疑惑発覚間もないタイミングで時間がなかったという言い訳が立つとしても、今回は早稲田の総力を挙げての検証だ。それでも大学として論文の“カンニング”に処分を下せず、“追試”の機会を与えてしまった。
現在、小保方氏は神戸の理化学研究所で、24時間監視態勢の下、STAP細胞の再現実験を行なっている。その期限は11月末までだが、
「内部では“成果が出ないことを確認するための作業”だと理解しています」(理研研究員の1人)
来月に小保方氏のSTAP捏造が正式に結論づけられたとしても、来年10月までは彼女は早稲田の博士である。早大大学院で小保方氏とともに博士号をとった研究者は自嘲気味に語った。
「その時、早大はチェック機能がない研究機関というだけでなく、捏造研究者を生み、野放しにする組織ということになる」
小保方氏は再論文を提出する意向で、大学側も指導教官を選出する考えという。彼女が粘れば粘るほど早稲田の信頼は低下する。早大総長以下、創設者・大隈重信の「失敗はわが師なり」という言葉を1年かけて学び直したほうがいい。
※週刊ポスト2014年10月24日号