「断捨離」が一大ブームになったのは今から4年前のこと。以来、さまざまなお掃除グッズや整理術を指南した本が出版されている。そんな空前の「片付けブーム」が社会問題に変化しつつある。「実家の片付け」だ。
「親が死んだ後、贈答品のタオルや使っていないワイシャツ、趣味で集めていた絵はがきなど溢れかえるモノたちを処分するのが大変だった」と両親が亡くなった後の遺品整理で苦労した人もいれば、「実家に帰省するとキッチンの棚にいつ買ったのかわからない昔の缶詰が大量にストックされている」、「両親が片付けをしないから、まるでゴミ屋敷のようになっている。捨てようとしても頑なに拒むため処分のしようがない」と嘆く人もいる。
そうした問題に直面した今、「自分は子供に迷惑をかけたくない」と強く思う人は多いだろう。自らが老いる前に整理整頓することが求められているのだ。
『老前整理』(徳間書店刊)著者で老前整理コンサルタントの坂岡洋子さんが言う。
「気力・体力のあるうちに暮らしを見つめ直し、モノの要不要を自分で判断して身軽になり、精神的に豊かな老後を迎えようという考え方が老前整理です。私がその必要性を感じたのはケアマネジャーとして働いていた介護の現場でした。いろいろなお宅に伺いましたが、どなたも荷物が多すぎることに気づいたのです。
『足腰が弱くなったからバリアフリーにする』という以前にモノが多すぎて手すりなんかとてもつけられない、モノが床に散乱していて車イスを動かしにくいといった現状を目の当たりにしました。
そんな山のような荷物を残したまま死んでしまえば子供は困ってしまいます。自分自身が身軽で快適な老後を送るため、ひいては将来子供に迷惑をかけないために、自らモノを整理して減らしていくべきなのです」
※女性セブン2014年10月23・30日号