少子化対策や女性の活躍の喧伝とは裏腹に、待機児童問題は実は深刻さを増している。保育の問題に詳しいジャーナリストの猪熊弘子さんがリポートする。
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「妊娠しました!」
先月、東京都江東区に住む会社員の友人から、LINEでメッセージが届いた。彼女は永井幹子さん(35才・仮名)。結婚して数年が経ち、そろそろ子供を、と思っているところにようやく妊娠した。
「おめでとう!」
と返信するや、返ってきた答えは予想に反し、およそ待望の命を宿した女性の文面ではなかった。
「来年、保育園に入れるかどうかが心配で…。来週から早速『保活』しようと思っています。タイミング的には最悪。とても憂鬱です」
「保活」とは、保育園に子供を預けるための活動のこと。「就活」、「婚活」、そして子供をつくるための「妊活」を経て、念願の赤ちゃんを授かったばかりのプレママたち。その喜びをかみしめる間もなく、今度はすぐに「保活」に走らなければならない。
永井さんの出産予定は3月。彼女の言葉通り、保活においては「最悪」の時期だ。というのも、現状では子供を預けられるのは最短でも生後43日からになる。そのため、3月生まれの子供はその年の4月には預けられない。
しかし、ほとんどの保育園が4月でいっぱいになってしまうので、翌年4月を目指すことになるが、多くの母親が仕事に復帰する1才での入園は、待機児童が最も多い“激戦区”なのだ。永井さんはこう嘆く。
「同じ区に住む会社の先輩で、保育園が見つからなくて、なかなか仕事に復帰できない人がいます。別の先輩にも、『1才の4月に認可保育園に入るなんて到底無理。秋頃にはどこかに預けておかなきゃ、1才の4月になったらどこにも預けられないかもしれないよ』と脅されています。だからなおさら、今から保活しなきゃって…」
※女性セブン2014年10月23・30日号