親の思い出の品、墓や仏壇、不用になった本や洋服、そして誰も住まなくなった家、それらをどう処分するか――「親の家の片付け」が子供たちを悩ませている。
会社員の小林真美さん(仮名・43才)は、母がそのままにしておいた父の遺品整理に1年かかったという。理由は「思い出」だった。
「14年前に亡くなった父の趣味だったカヌーや登山の用具を、母がそのまま押し入れや物置に保管していました。父が亡くなった当時、私も夫もスポーツをしないので誰かに譲ってはどうかと母に提案しました。でも母は『どれもお父さんの思い出がいっぱいで手放す気になれない』との一点張り。
父の衣類も趣味のものも手放しませんでした。そんな母は2年前に他界。結局、私と夫でカビが生えてしまった父の思い出の品を悲しい思いで捨てることになりました。もっと早く誰かに譲っていたら、捨てることなく大切に使ってもらえたのにと悔やみました」
小林さんのお母さんのように、「思い出があるから」となかなかモノを捨てられないという人は多い。子供の頃の作文やおもちゃ、趣味で集めたコレクションなど思い入れが強い品はなかなか捨てる決心がつかない。
そんな人に『老前整理』(徳間書店刊)著者で老前整理コンサルタントの坂岡洋子さんがアドバイスするのは、「思い出は写真で残す」という方法だ。
「大事にとっておきたい気持ちはわかりますが、潔く処分するかどなたかにもらっていただくといいですね。また、写真を撮ってからモノを捨てる方法もあります。子供が小さな頃に遊んでいたおもちゃやぬいぐるみ、もらってきた賞状、ご主人がゴルフでもらったトロフィーなど家族の歴史が詰まっているモノは写真におさめて保存することで一気に処分できるのです」
ただし、その写真こそが“思い出”の代表格でもある。
「小さな頃から両親が撮ってくれた写真アルバムがあります。母の花嫁姿や幼い頃に家族で旅行した海での写真、成人式の晴れ姿など思い出として残しておきたい写真ばかり。でも、家には子供たちの写真アルバムもあります。いずれゴミになるのなら今のうちに捨てた方がいいと思いますが、なかなか捨てる決心がつきません」(町田敏子さん・仮名・主婦・52才)
そんなときに便利なのが、写真や紙をスキャンしてCDやSDカードなどの記録媒体にデータとして保存しておく方法。自宅でデータ化するのが難しい場合は、写真店にお願いするのもひとつの手だ。どうしても写真のままで残しておきたいならば大事な写真だけを選んで残りを処分するのがオススメ。
「何十冊ものアルバムをお持ちのかたもいますが、『最近ご覧になりましたか?』と聞くと、『見ていません』というかたが多い。アルバムに貼らずに袋に入ったままで整理してないこともあります。これらは整理して2、3冊にまとめてください。例えば子供の成長で1冊、家族旅行で1冊とテーマを決めて、本当にいい写真を残します。
あれもこれも『いい写真』となって何も減らせなくなるのを防ぐために、『入学式で3枚』『運動会で3枚』などと上限を決めるとよいでしょう。そうするだけでグンと量が減ります」(坂岡さん)
※女性セブン2014年10月23・30日号