中国では習近平・国家主席主導で厳しい腐敗一掃キャンペーンが展開されているが、働いてもいないのに党・政府機関に勤務しているように見せかけて給料を受け取っていた「幽霊職員」が、中国全土で16万2629人もいることが分かった。
彼らは給与支給リストから削除され、職務を“解雇”されたが、この人数はあくまでも書類上だけで、国営新華社通信社は実際には33万2200人にも上ると報じており、損失は年間で約100億元(約1750億円)にも達すると試算している。
中国政府は10月初旬、幽霊職員の実態を調査し、書類上で分かっているだけで、各省自治区・直轄市などで労働実態のない計16万2629人に給与を支払っていたと発表した。
幽霊職員が一番多かったのが河北省で5万5793人で、2位が四川省の2万8466人。河南省が3位で1万5022人だった。
このなかには、汚職で更迭された公安局長に逮捕後7年間も給料を支払い続け、総額で35万元(約616万円)にも達していたケースもあった。
さらに、汚職で逮捕された次官級の大物幹部、劉鉄男・元国家発展改革委員会副主任の場合は、カナダ留学から帰ってきたばかりの息子の劉徳成氏が東省の国有企業の幹部として登録され、実際は働いてはいないのに、数年間で3558万元(約6億2600万円)もの金額を受け取っていたことが分かっている。
劉鉄男氏は息子をこのような実態のない幽霊幹部として、中国全土の国有企業数社の幹部として登録させており、すくなくとも1億元(約17億6000万円)の報酬を受け取っていた。この見返りに、劉鉄男氏はこれらの企業の優先的に国家レベルのプロジェクトを斡旋していたという。
しかし、新華社電は「これらのケースは氷山の一角」としており、実態は前述の通り今回摘発された16万件の2倍以上の33万2200人と推定。その損失額は末端幹部の年収が3万元であることから、最低でも約100億元にも達するが、「これの額が節約できれば、地方政府の赤字解消にかなりの貢献をすることだろう」と伝えている。