世界中で人気を博している日本のアニメ作品。ストーリーマンガだけでなく、『ドラえもん』をはじめとするギャグマンガも、多くの国で支持されている。これまで多くのアニメ作品を手がけてきたシンエイ動画の元会長・楠部三吉郎氏は、新刊『「ドラえもん」への感謝状』(小学館)の中で、アニメ『おぼっちゃまくん』の知られざるエピソードを明かしている。
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面白ければね、世界中、どこだってウケるんです。アニメ『ドラえもん』は、いまでは30以上の国と地域で放映されています。2014年の夏からはアメリカでの放映も始まりました。『クレヨンしんちゃん』もそう。どちらも、日本の日常生活をベースにしたギャグマンガですが、世界中で笑ってくれているのです。
『おぼっちゃまくん』(小林よしのり原作、『月刊コロコロコミック』ほか連載)もそうでした。かなり下品なギャグを連発する作品ですが、これがアニメでもウケました(1989年1月~1992年9月/テレビ朝日系)。
『おぼっちゃまくん』は平成になってから初めて放映されたアニメ番組だそうですが、平成のはじめ、世界中で人気絶頂だったのがラップミュージシャンのMCハマーです。アルバムが、全世界で1000万枚以上売れるという大人気で、1991年に初来日しました。この時、ホテルのテレビで、なぜかMCハマーが『おぼっちゃまくん』を観たそうなんです。
英語はサッパリなので、何と言ったか知りませんが、ともかく、天下のハマーが、『おぼっちゃまくん』をいたく気に入った。それでトントン拍子で話が進み、最終的には、このアニメのエンディングテーマを歌う、ということになりました。それが、「GO!GO!ハマちゃま(COUNT IT OFF)」です。「ともだちんこ」はアメリカのミュージシャンにもウケたんですね。
※楠部三吉郎・著/『「ドラえもん」への感謝状』より