総理大臣や外国の要人などをとりまく黒いスーツ姿の警護官たち。するどいまなざしを周囲に向け、颯爽とした身のこなしで任務にあたる彼らはSP(セキュリティポリス)と呼ばれる警視庁の精鋭たちだ。謎に包まれた彼らの実態を、警察に詳しいフォトジャーナリストの菊池雅之氏と元SPで身辺警護SP学院講師の伊藤隆太氏に聞いた。
Q:暴漢が拳銃を発砲してきたら?
「基本的にSPは応戦しない。要人の安全が最優先だからです。防弾のアタッシェケースなどで要人の身を守り、1mでもいいから離れるのが鉄則。犯人の逮捕は別の班が対応します」(伊藤氏)
Q:警護車は特別なもの?
「現在、総理の専用車はトヨタのセンチュリーとレクサス。どちらも1000万円以上する超高級車です。前後に付く警護車も同じクラスで、基本はクラウンですがメルセデス・ベンツの場合もあります。それらには防弾ガラスや爆発物にも耐えられる特殊鋼の装甲が施されている。運転するのはSPで、隊列を組んで進むため相当レベルの高い運転技術が必要です」(菊池氏)
Q:危険手当は?
「SPに危険手当はありません。一般の警察官や自衛隊員が爆発物の処理などにあたる場合は1回当たり数百円程度ですが、SPの給料は基本給と時間外手当のみです。今までSPで死亡した例はありませんが、万が一、殉職した場合でも一般の警察官に準じます」(伊藤氏)
Q:SPはどんな訓練をしている?
「万が一の時のための射撃訓練やナイフを持った暴漢を制圧する組み手、運転の訓練やマラソンなど。場合によっては赤坂迎賓館を借りて数十人規模で実戦を想定して行う訓練もあります」(伊藤氏)
例えば運転では、車両の幅ぎりぎりに置かれたコーンを倒さないように次々と通り抜けていく訓練をしている。
※女性セブン2014年10月23・30日号