食欲の秋、真っ最中。よし、うまいもの、食いに行くかっ! といきたいところだが、このところ胃の調子が……と、胃もたれが心配で以前のように好きなだけ食べられないという人もいるのでは? エスエス製薬が発表した「胃の不調に関する意識と実態調査」(予備調査対象/20~60代の男女2万名。本調査対象/過去1年に胃の不調を経験した人840名)によると、「胃の不調を感じ始める年齢」は平均で39歳。40歳前後が“胃もたれ適齢期”のようだ。
この胃もたれは、なぜ起きるのだろうか? 岐阜薬科大学客員教授の近藤剛弘先生に、原因と対策について聞いた。
「胃もたれとは、胃の消化能力を超えた物が胃に入っている状態。原因は胃の消化能力そのものの低下です。主に食べすぎやストレスが引き金になって、胃もたれが発生します。また胃の消化能力は、胃の筋力にも比例します。胃袋は筋肉でできていて、筋肉が伸縮することで胃の中のものが消化され、幽門(十二指腸への入り口)へ流れます。ですから胃の筋力が落ちると、消化する力が弱くなり、消化能力が落ちるのです。筋力が加齢とともに低下するのは、足腰などの筋肉と同様。ですから中高年ほど消化能力が落ちて、胃もたれが起きやすくなる可能性があります」(近藤先生)
加齢による胃の筋力の低下も胃もたれの要因とのことだが、前出の調査によると、「胃の不調の原因が加齢であることを知っている」人は2割に満たない。しかも、同調査では、「胃の調子がよいときのパフォーマンスを100点とすると胃の不調時は61.5点」と、約40%も低下しているのだ。
「胃の筋肉量が減るということで、“胃が痩せる”という言い方をしますね。食が細って元気がない状態のことです。漢方では“脾胃(ひい=胃腸のこと)は四肢に通ずる”と言います。胃の調子が体調を左右するという意味ですね。胃が元気なら体調もいいし、逆に胃が不調だと全身がだるく、活力が出ません。モリモリ食べられる人がエネルギッシュに仕事をバリバリこなせるというのは、医学的な観点からも納得できます」(近藤先生)
このように健康と密接な関係のある胃のコンディションだが、同調査では、胃の不調の対応策として「市販の胃薬を服用する」が約4割を占めた。ドラッグストアには胃薬がずらりと並ぶが、自分に合った薬を選ぶには、薬剤師に相談するのが一番。ご自身も薬剤師である近藤先生は「どんな痛みか、いつから不調なのかなどを伝えてください。食後にドーンと胃が重い場合は、消化を助ける成分の入った薬。食前にキリキリした痛みがあれば胃酸の出すぎなので、胃酸を抑える薬が効果的――というように、症状などによって薦めるお薬は異なります」と話す。一言で「胃薬」といっても、タイプがあるというのだ。