江沢民元国家主席の甥で、中国美術学院(大学)の許江・院長が最近、北京で開催した個展に中国共産党の高級幹部や大臣級の幹部ら数十人が続々と詰めかけ話題を呼んでいる。
ネット上では「江沢民は甥を利用して、自分の存在を誇示しようとしたもの」との書き込みが見られ、一時は「重病説」も出た江氏の威光を示すものとの見方がもっぱらだ。米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」が報じた。
許氏は1955年、浙江省に生まれ、現在59歳。母親の江南さんは江沢民氏の妹。許氏は中国美術学院長のほか、中国美術家協会副主席や浙江省文化聯盟主席を務めている。
許氏が2009年初めに上海美術館で個展を開いた際、江沢民氏が訪れたほか、上海や浙江省の要人がほとんど美術館に足を運んだという。これについて、香港紙「星島日報」は「許氏の芸術的力量のほか、江氏が叔父であるという家庭的な背景と切っても切り離せない」と皮肉っている。
今回の北京の個展でも同じことが起こった。中国国家博物館内の会場で行なわれた開幕式には党中央宣伝部の劉奇葆・部長(閣僚級)や趙洪祝・党中央書記処書記(同)のほか、黄坤明・党宣伝部副部長(次官級)や董偉・文化省次官(同)ら数十人の幹部が押し寄せた。
江沢民氏はこの日、建国65周年を記念する音楽会に出席。習近平・国家主席の隣りに陣取り、健在ぶりを見せつけた。江氏が公の場に姿を現したのは今年5月に上海でプーチン・ロシア大統領と会談して以来で、流れていた重病説を打ち消した形だ。
ネット上では、許氏の個展に駆けつけた幹部について「こいつらは典型的な腐敗幹部の化身だ。死んでしまえ」との書き込みもみられる。