日本は世界一の長寿国といわれるが、実際に100歳を超えて長生きしている人たちは、どんな生活習慣を送っているのか。ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が、長寿の秘訣について紹介する。
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最近見たなかで感動的だった映画のひとつは『100歳の華麗なる冒険』だ。おもしろくて、元気が出て、生き方を考えさせられるハッピーな内容だ。世界40か国で翻訳され、800万部の大ベストセラーにもなっている。人口900万人のスウェーデンで100万部を売り上げた小説の映画化──。
物語は、100歳のおじいちゃんであるアランが主人公。「100歳の誕生日のお祝いなんていらない」と言い、老人施設なんかにいてもちっともおもしろくないと誕生日当日に施設を脱走してしまう。
日本の人口の25.9%が65歳以上の高齢者である。その数、3296万人。もちろん、僕もそのひとり。
男女合わせて平均寿命84歳で、世界一の長寿国。世界最高齢は男女ともに日本人で、男性はさいたま市に住む明治36年生まれの111歳。好きな食べ物は魚で、今も元気に生活しているという。
女性は明治31年生まれで大阪に住む。好物はお寿司。長寿の秘訣は、と尋ねられると「たくさん食べること」と答えている。
100歳以上のお年寄りは、5万8820人。そのうちの女性は5万1234人で87%。圧倒的に女性が勝っている。
僕が出演している『ニュースevery.』で取材した111歳のおばあちゃんは肉好きで、月に1回、家族でしゃぶしゃぶを食べに行くのが楽しみだと話していた。そして毎日1時間は散歩をするのだという。
山口県の100歳の女性は、現役のスイマー。80歳のときにリハビリを兼ねて水泳を始めた。95歳でその年齢の女性記録を樹立した。そしてこれまで樹立した世界記録は17個。今も週に3回は泳いでいる。
毎年、僕が主催する「鎌田實と外国へ行こう」にも高齢者がたくさん参加する。
これまでの最高齢は100歳。とても元気なおばあちゃんだ。飛行機で出た機内食をすべて平らげ、家から持ってきたバナナも食べる。こちらは車椅子を用意したが、ついぞ使うことはなかった。
旅先のグアム島で驚いたことがあった。日本人の戦死者が多かった地区に入ると、突然お経をよみ出したのである。変に遠慮しない、自分流で前向きな人なのだ。
100歳を超えて、生き生きとし、健康で誰の世話にもならずに生きているお年寄りには、共通する特徴がある。「よく動く」「よく食べる」「好奇心を持って生きる」「自分流」──この4つ。
食欲の秋と並んで、芸術の秋。映画館や美術館に行って心に栄養を与える。日頃から感動する人は長生きするというデータもあるので、たまにはおしゃれをして映画館に出かけてみませんか。
※週刊ポスト2014年10月31日号