ファッションプロデューサーの植松晃士さんが、世のオバさんたちに、美しく健康に生きるためのアドバイスを送ります。今回は、観劇についてのお話です。
* * *
皆さま、ご機嫌よう。爽やかな風と共に、「芸術の秋」の到来です。私は以前から宝塚フリークを自認してまいりましたが、この秋は宝塚だけでなく、歌舞伎やバレエ、オペラにも積極的に参戦するつもり。今までは「観劇好き」というと、どこか“オバさま趣味”と受け取られてしまうのが、イヤだったんです。
でも以前、お伝えしたように、「2015年には、女性の半数は50代以上」で、今や世の中の主流はオバさま。なんの遠慮がいりましょうか。
私も今まで封印していた趣味を全開させて、思いっきり人生を楽しむことにいたしました。
実際、歌舞伎座に出向けば、50代なんてまだまだ若手。私もアラフィフの一員として(まだ50才には到達しておりませんから、念のため!)、観劇修業を始めることにしたのです。
別に観劇でなくとも、美術館や映画だっていいんです。とにかく、きれいなものをたくさん見ること。美しいものを目にすると、心が浄化されていくのを感じるもの。うっかり汚いものを見てしまったときなど、平常心を取り戻すためにも、効果があります。
逆にいえば、美しいものを目にしても心動かされず、浄化もされないとしたら、人として黄色信号点滅中。心が老化している証拠ですから。ぜひ、早めのリハビリを心がけてください。
でも実際、いるんです。年齢は若くても、「心はオバさん」なかたって。「オバさんって、大声で話してみっともないわ」なんて言いながら、自分は愛想がまるでないし、表情にも乏しくて、「感受性死んでる?」と思ってしまいます。喜怒哀楽が表情に表れないなんて、「人として終わってる」ですよね。
もちろん、若さには絶対的な価値があります。でも、いつかは失われるものなんです。あの無表情なままでオバさんになったら、どんだけ陰気なオバさんになるのか、想像しただけでも怖いくらい。
それに比べたら、今の40代、50代って、文化的でエレガントでゴージャスで、キラキラしたものが大好きな世代でしょ。好奇心も旺盛で、「24時間夢の中」で楽しんでいたいとすら願っている世代。その分、表情は豊かだし、生き生きとして魅力的です。
「バブル世代って熱くてうっとうしい」といわれることはあるけれど、景気がよかった時代を経験できたことは、貴重な宝物だと思います。
※女性セブン2014年11月6日号