夫は60才で定年退職し、老後は夫婦で、貯金と年金をやりくりしながら悠々自適な生活を送る。そんな風景も今は昔。総務省の労働力調査によると、今年4~6月の共働きシニア(65才以上の夫婦)は前年同期比11.7%増の95万世帯となり、過去最高を記録。65才以上の共働き夫婦がごくごく当たり前になりつつあるのだ。
なかでも、“予想外”の事態が発生したがゆえに、共働きとなってしまう夫婦も少なくない。愛知県在住のYさん(主婦・66才)が言う。
「夫と小さなリサイクル店を開いていましたが、儲からなくなったので5年前にたたみました。もらえる国民年金は雀の涙ほど。自営業ですから退職金もありません。それでも夫婦ふたりでつましく暮らせばギリギリ生活できます。でも働かなくてはならない理由があるのです」
Yさんには息子が2人いる。38才の長男は結婚して家庭を持っているが、33才の次男がまだ自立していない。
「地元の高校を出て東京の大学を卒業したけれどなかなか就職先が見つからないまま、今に至っています。一度は知人の紹介で小さな事務所で働いたけど、すぐに辞めてしまいました。今も独身で東京に住み、アルバイトをしています。ビラ配りや警備員といった日雇いの仕事をしているようですが、手取りは月15万円を切るようです」(Yさん)
その収入でアパート代や生活費を払っていくのは無理と、Yさんは大学時代と同じく月8万円の仕送りをしている。
「夫はそんなお金を払うくらいならこっちに戻したらどうかと言いますが、30を過ぎて定職がない息子を呼び戻すなんて、ご近所の目を考えるとできない。仕送りをしてでも向こうにいてほしいというのが本音です」(Yさん)
Yさんは結局、息子のために夫と働きに出る毎日だ。
「夫は物流会社に再就職して収入は月12万円程度です。私は週に3日、1日5~7時間、ビルの清掃員として働いていて収入は月6万円。ふたりで18万円前後ですが、息子への仕送りに半分近く消えますね。長男も生活に余裕なんてありません。子供なんていても頼りにならない」(Yさん)
※女性セブン2014年11月6日号