タレントが街歩きをしながら、その土地の食べ物や風物に触れる「散歩番組」。低予算で作れ、なおかつ安定した視聴率を稼ぐことができることからテレビ局にとってもテッパンのコンテンツだか、一体どうやって作られているのだろうか?
まず台本について。ほかの多くのテレビ番組と同じようにあるのだろうか?
「大半は台本がありますよ」
こう語るのはあるテレビ局スタッフ。出演するタレントがその場その場で行く店やルートなどを決めているように見える番組が多いのだが…。
「もちろん、どこまで書かれているかというのは番組によって違います。1枚の紙に、回る店やルートしか書かれていない場合もありますし、一言一句、出演タレントのセリフが書いてあるケースもあります」(前出のテレビ局スタッフ)
台本があるのなら、気になるのは飲食店などの店に事前にアポ取りをどのようにしているのか、ということだが…。別のスタッフがこう続ける。
「簡単に言えば、何日の何時ごろに行くとだけ伝えます。ただ、大体、収録時間が押す(長引く)場合が多いので、伝えておいた時間にはなかなか行くことができず、店側の気苦労が絶えないそうです。また、食べる料理も事前に指定しておくこともあります。つまり、タレントがその場で選んだように見えるメニューも、実はもともと決まっていた、ということも中にはあるのです」
では、行く店のチョイスはどうしているのだろうか?
「タレントの思い出の店、おすすめの店という場合もありますが、それ以外は、スタッフが雑誌やネットなどを見て調べ、ロケハンといって実際に店に行って下調べします。ただ、紹介する地域内でなかなか適当な店が見つからない場合は、ひとつ先の駅の店まで範囲を広げることもあります。ですから最初に降り立った駅から実際に歩くと20~30分かかってしまうなど、ぶら歩きの領域を超えてしまうことも多々あります」(前出のスタッフ)
一方で、台本が存在しない、ぶっつけ本番「完全ガチ」の散歩番組もあるという。
「テレビ番組の歴史は生放送が原点ですから、散歩や旅にもハプニング性はつきものという考えのもと企画されているのだと思います。店側への出演交渉や、出会った人の家にお邪魔するなど、どう展開するかわからない面白さを視聴者が楽しむことができます。ただし、こういった番組を成功させられるかどうかは、出演するタレントの力量にかかってくる部分が大きいですね」(前出のスタッフ)
素人をうまくさばく対応力や、予想もつかないことを面白がるタレントの度量、何より制作スタッフの覚悟がなければ難しいのだろう。もちろん、仕込みやリサーチをしている散歩番組も、あくまで「演出」の範囲でスタッフが試行錯誤しているということか。