2003年以来の顔合わせとなった阪神タイガースと福岡ソフトバンクホークスの日本シリーズが開幕した。本誌は『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)著者で、ライターの広尾晃氏の協力のもと、両チームの過去の全対戦成績(今回の日本シリーズ前まで)を解析した結果、前身も含め、タイガースの100勝、ホークスの102勝で4引き分けとなった。
阪神ファンにとって気がかりな点は、過去に2度顔を合わせた日本シリーズで、ホークスにいずれも3勝4敗と敗れたことであろう。それだけに、今シリーズでの雪辱は虎党の悲願となっている。
「カギとなるのは、日本シリーズのような短期決戦で勝敗を左右するラッキーボーイの存在です。実力伯仲の両者ならばなおさら、シリーズでいつも以上の力を発揮できる選手の見極めが重要となります」(広尾氏)
今シリーズでの阪神のキーマンは誰なのか。まずは投手陣。何といっても光るのは、これまでホークス打線をほぼ完璧に抑え込んでいる福原忍、筒井和也の存在である。特に筒井は過去3年間にわたって無失点だ。今季入団のためまだ2度しか対戦がないが、呉昇桓もゼロに抑えている。シーズン、CSで安定した成績を残した救援陣は大きな強みになりそうだ。
反対に先発陣はあまり良い成績を残せていない。特に勝ち頭のメッセンジャーは過去4戦4敗とカモにされている。しかし「今年はそれが好材料になるかもしれない」と広尾氏は見る。
「メッセにはこのシリーズに“因縁”がある。彼は2010年に阪神に入団しましたが、同年開幕直後ソフトバンクから移籍してきたスタンリッジと入れ替わりで、二軍落ちした経験があるのです。しかもそのスタンリッジは今季、ソフトバンクに出戻っている。強烈なライバル意識が苦手意識を上回るかもしれません」
続いては野手。最初に目につくのが、この3年間、ソフトバンク戦での打率を飛躍的に上昇させてきた鳥谷敬である。今シーズンの4試合ではなんと5割7分。巨人とのCSでもチャンスに強いところを印象づけたが、チームリーダーとして頼りになりそうだ。
サンプルこそ少ないが、3割5分を超える大和も楽しみな存在。CS巨人戦では連夜(第2、3戦)のダイビングキャッチを見せ、乗りに乗っている流れもラッキーボーイの資格十分だ。
そして最大の伏兵が“男前(※注)”こと藤井彰人である。
【※注】阪神に加わった2011年、挨拶代わりの移籍後初ホームランでお立ち台に上がり、「顔だけが取り柄です」とスタンドを沸かせてこの渾名がついた。
「楽天時代からホークスを得意としている。控え捕手のために出番は少ないが、代打やDHで使っても面白いと思います」(広尾氏)
※週刊ポスト2014年11月7日号