ドラフトでは「大学ナンバー1」の有原航平(早大)や「超高校級」の安樂智大(済美)が注目されたが、「偏差値ナンバー1」は間違いなくロッテの2位指名を受けた京都大野球部の右腕・田中英祐だった。
兵庫・白陵高からストレートで京大工学部(専攻は化学)に進学。1年の秋から関西学生リーグで「京大らしくない」投手として関係者の話題を集め、2年の春には関西学院大を1対0で完封、京大の連敗を60で止めて話題になった。
京大史上最多の8勝(31敗)を挙げたマックス149キロの本格派だ。練習時間に制約のある進学校のため高校時代に肩を酷使しておらず、今後の伸びしろも期待できると評価されている。
しかし、球界では「超インテリ選手」はあまり活躍できていない。東大卒のプロ選手は過去5人誕生したが(いずれも投手)、残念ながら誰も芽は出なかった。田中についても、ある在京球団スカウトは「話題作りだろう。実力的にはちょっと厳しいよ」と指摘する。
ロッテ監督時代、東大卒の小林至(1992年ドラフト8位)を獲得した400勝投手・金田正一氏はこう語る。
「確かに話題作りという側面はある。小林の時も、当時ロッテにあまりにも人気がないから話題が欲しくて、うまく化けて戦力になれば儲けものと思った。
受験勉強に時間を割かれるために高校時代の練習量は当然少ないから、実力的にはどうしてもプロでは厳しい。しかし選手としてはダメでも、将来フロントで力を発揮できる可能性が高い。球団はそこまで見越して入団させるわけだ」
小林は一軍登板のないまま自由契約となったが、現在はソフトバンクの球団要職にある。1966年のドラフト3位で東大から中日に入団した井手峻も引退後にフロント入り。2013年には球団代表も務めた。
ただし、金田氏は田中の投手としての能力も評価する。
「投球をテレビで見たが、フォームが非常に綺麗であることに好印象を抱いた。彼は今後の練習次第で十分化ける。ワシがいうんだから間違いないよ」
カネやんのお墨付きの超インテリ投手は、好打者の多いパ・リーグでどこまでやれるだろうか。目指せ400勝!?
※週刊ポスト2014年11月7日号