人間の喉は、喉頭(こうとう)と咽頭(いんとう)からなり、咽頭は食物が通る食道へ繋がり、喉頭は空気の通り道で気管から肺へ続いている。喉頭には、左右1対の声帯があり、肺からの呼気で声帯を振動させることで発声する。また、気管と食道に繋がる分岐点なので、食物が通る際には、喉頭と声帯を喉頭蓋(がい)というフタで閉じて、誤嚥(ごえん)を防ぐ働きもしている。
喉頭がんの発生は、女性より男性が10倍多く、50代以降に急激に増加する。発症の危険因子はタバコで、患者の約95%が喫煙者だ。国立がん研究センター東病院副院長で頭頸部外科の林隆一外科長に話を聞いた。
「喉頭がんは、声帯にがんが生じる声門がんが約70%と一番多く、声帯上の喉頭蓋あたりの声門上がんが30%弱で、声門下がんは、ごくまれです。発生頻度が高い声門がんの初期症状としては、嗄声(させい)があります。とくに喫煙者で、声がガラガラと嗄(か)れる症状が2週間以上続くようであれば、声門がんの疑いがあり、耳鼻咽喉科を受診する必要があります」
声門上がんは、咽頭痛や喉の違和感で起こることもある。発見された時には、リンパ節に転移していることも多い。
診察は内視鏡や、関節喉頭鏡を喉に挿入して検査を行ない、疑わしい場合は、さらに組織の一部を採取する生検を行ない診断する。
喉頭がんは、早期なら十分に治癒が可能ながんだ。声嗄れが長期間続いたら、風邪だと勝手に判断せず、早めの受診が肝心だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2014年11月7日号