ファッションプロデューサーの植松晃士さんが、オバさんたちが美しく生きていくためのアドバイス。今回は新幹線でのマナーについてのお話です。
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実はつい先日、明らかに「オンナを捨てて数年経過」と推測されるオバさんに遭遇し、とても不愉快な思いをしました。
夜遅い新幹線だったのですが、おひとり様のその女性は、発車するなりレジ袋からビールとポテチを取り出し、ぷはぁ~&パリパリを始めたんです。
ポテチってけっこうガーリックの香りが強いので、それだけでも気になるのに、さらにイヤだったのは肘。
新幹線でも観劇に行っても肘掛けの境界線はどこか、いつも迷うのですが、少なくとも両肘をがっつりと掛けて座るのはマナー違反です。おひとり当たり、ふたつの肘掛けは用意されていないのですから。
しかも、お隣さんがかなりのぽっちゃりさんだったりすると、こちらは腕を前でXに交差させて、体を縮めなければなりません。
私のお隣に座った女性がまさにそうで、東京までの数時間、肘掛けの境界線を踏み出しっぱなし。わが天下状態でした。
しかも、そのかたは食べかけのポテチを放置したまま居眠りを始めたからたまりません。ポテチの香りと、肘攻撃をダブルで受け続けたのでした。
これは私の偏見かもしれませんが、痩せている女性と比べ、大きなかたは、神経もぽっちゃりしているかたが多いような気がします。
つまり「体形も仕草もマナーも、あらゆる面でオンナを忘れている?」と思うことがよくあるのです。
話を元に戻します。肘掛けを不法占拠して平気な人は他人がどう思っているか、まったく気づきません。
これと同じようなことをもうひとつ思い出しました。「お金の貸し借り」です。
お金をお貸しした相手にすっかり忘れられてしまったとき。または忘れたそぶりをされたとき、貸したほうは「あのお金のことだけど…」とは、なかなか言い出せません。
「借金」や、それにまつわる言葉も、催促しているように聞こえそうで、あわててひっこめてしまったり…。
一方、借りたかたはというと会うなり「あら~、元気?」と堂々としたもの。お金を「貸したほうより、借りたほうが威張っている」のです。
迷惑をかけた上、その人に気まで使わせてしまう恐ろしさ。「つい、うっかり」が多くなる中高年女性は、いつ自分が被害者から加害者に変わるかわかりませんよ。
オバさん、万歳!
※女性セブン2014年11月13日号