大手新聞やテレビ局の政治記者に対して、官邸や自民党は接待攻勢を繰り返している。それに記者サイドも易々と乗り、政治スキャンダルなどが報じられにくい癒着構造が生じている。
メディア関係者を取材すると、政治家と飲んだ際は「1万円程度は置いていく」(民放キー局記者)や「数回に1回は返礼で一席設けている」(大手紙政治部記者)といった反論も聞かれたが、接待側の議員サイドからはこんな証言が出てきた。自民党政調関係者が語る。
「時折、2~3人の記者と少人数での会合を持ったときなど、1万円程度の現金を置いていく記者もいる。しかし、こちらが予約する店は最低1人1万5000~2万円クラス。常にこちらが接待していることに変わりはない。他党のことは知らないが自民党では議員主催のオフ懇(オフレコ懇談会)は議員サイドが払うのが慣例。個人的な実感としては、政治家から奢られることに何の罪悪感も持っていない記者が大半だ」
記者に供されるのは飲食だけではない。小渕優子・前経産相が配ったとされる「下仁田ネギ」ではないが、地元の特産品が送られてくるケースもある。
例えば近畿地方のある自民党大物代議士は、番記者や懇意にしている政治部記者に、つい最近までお歳暮で地元特産品を欠かさず贈っていた。現役の国会議員秘書はこんな話を打ち明ける。
「国会質問の手伝いをしてくれた記者へのお礼として、後日、記者の自宅に議員の地元選挙区の名産品である果物を贈った。果物なら、返そうとする相手にも“どうせ腐ってしまいますから”と強引に受け取らせることができる。『贈答品』名目で、議員の政治資金で処理した」
これが実態である。政治家と大メディア記者の「近すぎる関係」を目の当たりにしてきた元参院議員の平野貞夫氏は「私も記者を接待した経験がある」と明かした上で指摘する。
「一連の新聞・テレビの政治資金追及報道は、とんだ茶番劇です。政治資金を叩きながら、その政治資金で自分たちも飲み食いしている。これが『政治とカネ』問題の本質です。本当に追及するべきは、この政治資金を介して権力とメディアが一体化している現実のはずなのに、自分たちもグルだから彼らは かむりを決め込んでいる」
そんな新聞記者たちが、“そろそろ政治資金追及はやめよう”といっているのだから、その動機、真意は推して知るべしだ。
※週刊ポスト2014年11月14日号