夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は寄せられたのは飲料メーカー勤務のご主人(45歳)。奥様(48歳)の健康法は、古典を紐解くことです。
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「古典は知恵の宝庫。昔ながらの健康法は体にもいいはずよ」という妻が実践する「古典健康法」。まずは江戸時代の儒学者、貝原益軒が書いた『養生訓』です。「長寿を全うする条件として書いてるのは、自分の内にある欲を我慢すること。『食欲』『色欲』『むやみに眠りたがる欲』『いたずらに喋りたがる欲』ね。アナタ、気を付けてね!」。
う~ん、一緒にレストランに行くと「あれも」「これも」と注文して、喋りながら食べ、夜は「今日は寝かさないわよ」で、終わるとお腹を出して高イビキ。気を付けるのは、オレじゃなくてお前だよ!
この夏には「『吾妻鏡』がおすすめね。鎌倉時代の僧、栄西がお茶を二日酔いや消化不良に効く薬だといってるの。今日から毎日、お茶を飲みましょう」。「それって、お中元でもらったお茶が沢山あるから消費したいんだろ?」「茶々入れないで!」とお茶を濁す妻。
極め付けは「『徒然草』に健康法の極意を見付けたわ。まさに『吉田兼好法』!」。その駄ジャレがいいたかっただけだろ? 「違うわよ! 徒然なるまま、家でのんびりして、いいたいことをいう。最高の健康法だわ」。それなら、今さら実践しなくても、結婚以来、ずっとやってるじゃないか!
※週刊ポスト2014年11月14日号