日本と中韓との歴史戦争のカギを握るのはアメリカである。いくら強制連行が否定されても、アメリカでは「慰安婦=性奴隷」説が広まっていく一方だ。そこには中韓が頼りにする“反日女傑”の存在があった。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が現地からレポートする。
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「河野談話は日本の閣議決定ではない! だから日本政府の公式の謝罪ではない。日本は慰安婦に公式に謝罪しなければならないのです!」
8月19日、ワシントンの大手研究機関「ヘリテージ財団」主催の東アジアの歴史認識についてのシンポジウムだった。
傍聴席のど真ん中のアメリカ人女性が壇上のパネリストに激しい怒声を浴びせた。そのパネリストが日本政府の慰安婦への謝罪は河野談話でもう済んでいるという見解を語ったことに対してだった。その女性は日本の謝罪は河野談話だけでは決して済まないと糾弾するのだった。
この女性が近年、もっぱら慰安婦問題で日本を責め続けているアメリカ人の活動家ミンディ・カトラー氏だった。
カトラー氏は公式にはワシントンに拠点をおく「アジア政策ポイント」という小さな研究機関の代表である。だが「研究」といっても、その実態はよくわからない。
きわめて明確なのはカトラー氏が慰安婦問題では日本を悪役と決めつけ、非人道的な犯罪国家であるかのように断じてきた人物だという事実である。その非難は一方的、高圧的、破壊的であり、「日本叩き」とか「反日」という表現でくくらざるをえない。
ワシントンでは日本関連のシンポジウム類の開催が多い。カトラー氏はそれらに頻繁に顔を出し、「日本の民主主義はなお未成熟だから」とか「安倍晋三は危険な政治家だ」というようなとげとげしい発言を繰り返してきた。
アメリカ議会下院は2007年7月、慰安婦問題での日本非難決議を採択した。同決議は「日本軍が組織的に女性を強制連行し、20万人の性的奴隷にした」との誤った断定に基づいていた。
カトラー氏はこの決議の推進でも大きな役割を果たしていた。だが彼女のそうした動きは日本側ではあまり知られていない。
※SAPIO2014年12月号