イクメンという言葉を使うまでもなく、欧米では父親の育児参加は当たり前とされているが、 一方の日本は、男性が育児休暇を取得する割合はわずか2.63%で、欧米には遠く及ばない。日本人女性と結婚し、二男一女を育てるイクメンタレントとして知られるセイン・カミュさん(43)はいかにイクメンになりえたのか。セインさんは、『ザ・イクメン』(三省堂)などの著書もある。
セインさんは、イギリス人の母の再婚相手である日本人の父の都合で、日本やレバノン、エジプトなど世界各国で暮らしてきた。
「いろいろな国に行きましたが、母の影響で暮らしぶりは欧米流。欧米の家族って、たとえるなら“チーム”なんですよね。父親は力仕事、子供たちは簡単な家事など、それぞれの得意分野を尊重して役割を決め、全員で力を合わせて家のことを行う。
ぼくも7才の時から、皿洗い、風呂掃除、妹のおむつ替えやお風呂など、母に教えられてやってきました。父もたまの休みには必ず料理を作ってくれました。このお手伝いの経験があるから、自分に子供が生まれた時も、当たり前のように育児に参加できたんだと思います。もちろん、今は自分の子供たちにもお手伝いをさせています。文句も言っていますけど(笑い)。お手伝いこそ自立の第一歩だと思うんですよね」(セインさん・以下「」内同)
とはいえ、日本と欧米流の子育ての違いに戸惑うこともあるという。
「欧米では、自立心を育てるため、子供は小さい時から自分の部屋でひとりで寝かせるのが一般的。でもうちの奥さんは、皆で“川の字”で寝るのがいいと言うんです」
ネットで調べ、議論を重ね、結局、奥さんの意見に軍配が上がった。
「欧米では夫婦だけの時間を大切にします。子供が夫婦の間に入ることで、その時間が減るのが嫌だったんですが、川の字生活をしてみると、それはそれでかなりいい。子供の体調もわかりますし、安心感を与えられる。実はこの川の字生活、欧米でも最近注目されてきているんです」
日本の子育てのいい面を取り入れつつ、セイン流子育ては、進化しているようだ。では、日本人におすすめしたい独自の子育て法は?
「最近日本の子育てに“褒める”ことが流行していますよね。でも、日本人は褒め慣れていないせいか、いい塩梅の褒め方をしていないように思います。例えば、頭ごなしに叱ってから褒めても、子供は叱られたショックで、最後の褒め言葉は聞こえていません。
『よく考えられたね、すごいね、でもね…』など、褒めてから叱るのが効果的に思います。なんて、偉そうに言いましたが、子育ては毎日試行錯誤の連続。正解なんてわかりません。でも、家族がチームとなって取り組むことで、悩みは半分、喜びは何倍にもなると思うんです」
※女性セブン2014年11月20日号