10月下旬に、消費増税の効果をアピールするテレビCMや新聞広告などが打たれた。人気子役の芦田愛菜を起用、発注元は内閣府政府広報室で、予算は2億6000万円に上った。
こうした増税PRの片棒を担ぐメディア側の事情を大手広告代理店関係者がこう話す。
「伸び悩む広告収入の確保に苦心しているテレビ・新聞にとって政府広報は旨みが多い。今回、新聞は全紙が5段広告とサイズが大きかった。ブロック紙や地方紙、ローカル局にも発注したため多くのメディアが潤った」
今年度の政府広報予算は前年度44億円から1.5倍増の約65億円に増えた。直近5年間で年間予算が50億円を超えたことは一度もなかったので、マスコミ対策費の大盤振る舞いだ。もちろん広報費の主な支出先はテレビ・新聞などの大メディアである。
そもそも消費税増税は社会保障費に充てるカネがないから、国民に痛みを我慢してくれと財務省が打ち出したものだ。「カネがない」といっておきながら、どうしてこんなに大盤振る舞いしたのか。
財務省に質すと、「アベノミクスや消費税増税といった重要政策が進行しているので、国民の理解を深めるためには、効果的な国内広報が必要であると判断した」(主計局)との返答だった。
※週刊ポスト2014年11月21日号