財政赤字が拡大し、国の借金は1200兆円にものぼり、政府は財政再建を錦の御旗に消費税10%への増税に突き進む。ところが、「景気対策」と称して繰り返された杜撰な巨額公共事業によって、国民の血税が泡と消えているのだから、生活費を削って納めた国民は馬鹿を見るだけだ。“欠陥事業”のなれの果てを晒す
厚生労働省の「若年者雇用対策の推進」の一環として、総工費581億円で2003年に開館した世界最大級の職業体験施設「私のしごと館」(京都府木津川市)。敷地面積は8万3000平方メートル、精華町と木津川市にまたがる施設は当初こそ年間30万人の来場者で賑わったが、民営の「キッザニア」のような大成功とはいかなかった。
実物大の「宇宙ステーション」や1体数百万円の「ちょんまげ人形」などの設備投資がアダとなり、初年度から毎年10億円超の赤字を計上。2008年に民間委託して効率化を図ったが、時すでに遅く2010年に閉館となった。今年4月、国から京都府へ無償譲渡され、来年4月から京都府が「けいはんなオープンイノベーションセンター」と名を改め研究機関を募っているが、入居企業はいまだ2社。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2014年11月21日号